スロービジネス。ゆっくり、忙しい?確かに矛盾する単語です。けれども、ナマケモノ倶楽部は、この「スロービジネス」について真剣に考えてみたいと思うのです。

「スロービジネス」を一言で説明するならば、「さまざまな人が安心して一緒に生きていける社会」を創り出していくようなビジネスです。目的は利益やお金ではなくて、キラキラ光る社会の良い所や宝物を探し、育てていくことです。そこには「感動」や「生きる喜び」があります。重要なのは「自然のリズムやペース」、「人の生きるリズムやペース」に沿ったスローさです。

今の社会で大きな流れとなっているビジネスのあり方や経済の仕組みは「より大きく、早く、強く」という論理に支えられたグローバリゼーションの中にあります。多くのビジネスマンや経済学者は「GDP(国内総生産)がどれだけ増えたか」や「今年の経済成長率が上がったか」といったことを気にしています。でも、その経済やビジネスのあり方は、人と人とのつながりや人と自然とのつながりを切り離しているのではないでしょうか?それぞれを具体的に見ていきましょう。


<スロービジネスは面白くってしょうがない!!>

小澤陽祐(有限会社スロー・代表) www.slowslowslow.com

まず、「ビジネス」とは自分にとっては「生き方」「生き様」です。
フリーターを2年ちょっとやってた時、このまま風来坊人生も良いかも知れないが自分は結婚をしたい。
それにはアルバイトでは、同棲が限界で、家族は養えないだろうと思った。

そうしたら勤めるしかない。しかし働きたいところがない。というよりもやりたい事がわからない。
自分で見つける力が養われていなかったのだ。楽な線路に乗っかってきたから。
「現役就職」という列車から降りる事で、そのまま連れてかれなくてすんだけど、
行く先は見えない、わからない。

「自分はやりたい事が見つかるのを待ってるだけだ」と信じつつも、
「じゃあそのやりたい事はいつ見つかるの?」という不安は常に表裏一体。

そんな時に出会った今の仕事。自分のやる仕事が、直感で気持ちよさそうで、
どうやら人をよろこばせる事ができて、しかもそれが自然をこわさない。
「自然を食い物にするのではなく、自然の恵みで食ってます。」と胸を張って言えそうだ。
それで家族も養えたら、こんなイイ事はないんじゃないか?と思った。

さらにその「縁」は、ひかれてきたと思っていたレールの延長線上にあった。
「Hip Hop」という生き方とも大いにかさなる。単純に有機コーヒーを生産している
ブラジルのカルロスさんや、エクアドルのインタグ地区の人たち、
そしてフェアトレードコーヒーの先達である潟Eインドファーム
の中村隆市さんの生き方がカッコいいと思った。


次に「実感」。出会いから4年、会社をはじめて3年経った。
当初思いえがいた事や、楽しそうだと思った事を実際に自分達でやっている。
まわりではみんなが応援してくれたり、見守ってくれている。ありがとう。
「商売」「ビジネス」「有限会社」といった活字でしか知らなかった事を
一つ一つ体感できる。一歩一歩だけど、確実に実感として得られる。

自分は欲張りな人間で分かちあうのは苦手だ。でも喜びや悲しみを
分かちあってやってきた。その事を考えると、次のように思うようになった。
利益がなければ継続できないが、独り占めしなくてもいいな、と。

相棒の焼くコーヒーを、たくさんの人が「おいしい」と言ってくれる。
生産地の話をみんなが聞いてくれる。オーガニックの気持ちよさが伝わっていく。
笑った顔を見てると、こっちも楽しくなってくる。つらいこともあるけど、
その何倍も楽しい。今やっている仕事は面白くってしょうがない!!

めざせ若社長ならぬバカ社長!


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