世話人のコーナー
辻信一
中村隆市
アンニャ・ライト
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世話人・アンニャ・ライトのコラム


アンニャの日記:エル・ミラグロでのスローな生活1

2004年3月、エクアドルへ帰国するアンニャ。(東京にて)

2004年4月16日

◆エクアドル!

親愛なる友人のみなさん、

この便りがアンニャ、パチャ、ヤニ、(そのうちマルセロも)が住むエル・ミラグロからの最初のニュースになります。私たちは、エクアドルの雲霧林(うんむりん)で、持続可能でエコロジカルでスローなライフスタイルに家族で取り組もうとしています。

2人の子連れでエクアドルに戻ってきたことは、確かに多くの点でハードでした。私のパートナーであるマルセロが、戻ってくる私たち家族のために、エクアドルで準備をしてくれていると期待していたのですが、現時点でそれがかなっておらず、私自身が二人の子どもにとってのライフラインです。

もちろん一人の人間としてエクアドルで生活することには何ら問題がありません。しかし、二人の子どもとの生活となると話が別です。布おむつを手で洗濯をし、支払の長蛇の列に並び、地元の人やものが「スロー」なことを再認識しています。

こういう状況でしたので、私自身がゆっくり座って便りを書いたり、プロジェクトに携わったり、あるいは読書の時間さえなかなか取れないでいたわけです。

しかし、エクアドルはといえば、いつもどおりとても美しく、人々は明るく寛容です。コタカチに戻ってきてうれしかったことの一つにコタカチエコロジーセンターとオーガニックカフェの再オープンがあります。これは、アヤ(ナマクラ理事で現在エクアドル駐在員としてコタカチ在住の和田彩子)やドリットをはじめボランティアたちの働きによるもので、今のところ順調に機能しています。


◆親子3人、「エル・ミラグロ」へ

このレポートでは、コタカチ・エコロジーセンターのあるコタカチからバスでさらに2時間、徒歩で1時間弱のところにある、雲霧林の楽園「エル・ミラグロ」についてお話しましょう。

エル・ミラグロで行われているプロジェクトとその過程は、持続可能なライフスタイルをめざしたい人、生態系を守りたい人、身体、精神(スピリット)、そして心に対して健全でありたいと思う人すべてに共通するビジョンだと思っています。

「スロー」に生きる・・・、これは、私がこれまでずっと夢に描いてきたことです。みなさんもぜひ一度、エル・ミラグロを訪ねてきてくださいね。そして、ここで暮らし、体験したことがあなたの未来へのビジョンにつながればうれしいです。

4月10日、パチャ(3歳)、ヤニ(7ヶ月)、そして私は、午前8時のバスでアプエラに向けて発ちました。コタカチ山を超えると、湿った雲が空を覆い、深い緑がバス、そして私たちの身体を暖かく包んでいきます。

ようやくアプエラに着くと、私が留守の間エル・ミラグロの世話をしていてくれたルイスが、私たち家族と荷物を運ぶために2頭の馬と一緒に出迎えてくれました。馬に乗ったパチャのはしゃぎっぷりといったら!アプエラからエル・ミラグロに着く丸々一時間、険しい道やぬかるんだ道やがけ道を恐がることもなく、ずっと歌いっぱなしでした。

私に抱かれたヤニはというと、最初はキャッキャと笑っていましたが、そのうち母乳を飲んで眠ってしまいました。鞍のない裸馬の馬上での授乳がどれだけ大変か、ちょっと想像してみてください!


◆「スロー」を体現できる場所

ようやくエル・ミラグロの我が家に到着。荷物を広げ、これからの生活の準備にとりかかります。

私がいない間、ここはネズミたちの楽園だったらしく、また庭も荒れ放題でしたが、私の記憶のとおり美しいエル・ミラグロに変わりはありませんでした。

その晩、私たちは窓の外を飛び交うホタルを眺めながら、「彼らは妖精に違いない!」という結論に達しました。次の朝、目を覚ましたパチャは、太陽が昇って妖精たちが姿を消してしまったことに大変ショックを受けていました。

雨季のインタグにおいて、朝、太陽が出ている間に洗濯を終えることはとても重要です。実際、エル・ミラグロで、毎朝私は手で洗濯をするのですが、田舎で二人の遊び盛りの子どもがいる状況においては、洗濯しても洗濯しても、作業が終わりません!


◆「エル・ミラグロ」でのミッション

ルイスと一緒に、エル・ミラグロの当面の計画について意見交換をしました。まず、すぐ取りかかりたいことの一つが、外部とのコミュニケーション手段として、電話線をつなぐことです。つまり、近くのプカラという村で電話を引いている誰かの電話線を借りて、エル・ミラグロまでの1キロのケーブルを配線したいと考えています。

そのほかに、パソコンを稼動させる電力源としてソーラーパネルの設置やコンピューターや書籍を置けるような雨漏りのしないオフィス作りを検討しています。雨季が明けたらこれらのプロジェクトに着手しようと思います。そして、庭に植物を植え、水回りを整え、馬を手に入れ、本格的なスローライフに突入しようと思います!


◆友人、カルロスとの再会

4月12日午後、徒歩30分のご近所、カルロス・ソリージャ&サンディ一家のもとへと出かけました。カルロス家に行くためにはまず、ワイヤーで作ったつり橋を渡らねばなりません。これは二人の子ども連れの私
には試練でした!

エコツアーに参加したナマケモノメンバーたちはこの橋を覚えていると思いますが、勢いよく流れる川の上にかけられたなんとも頼りない手作り(私たちが作ったのですが)の橋を、一人を背中に一人を前に抱えて足場を選んで歩いていきます。パチャはとっても勇敢で、私にいわれたとおり、しっかり私にしがみついていてくれました。人間ってほかに選択肢がないと強くなれるものなんですね。

カルロス一家の住むラ・フロリダを再訪できたことは感激でした。カルロスの妻サンディーと私は、お互いの場所を行き来して、週に一回はおしゃべりして過ごすことを約束しました。私たちがカルロス家にいる間、二つの特別なことが起こりました!

ひとつは、二羽のハチドリが建物にぶつかって、オレオ(犬)のおやつになってしまうところを私が救ったこと。二羽のハチドリはしばし気絶していましたが、やがて意識を取り戻し、再び空へ飛びたっていきました。

もうひとつは、コタカチにいるアヤ(エクアドル駐在員・和田)に電話をしようと受話器をあげたとたん、ちょうど彼女から先に電話がかかってきたことです!

これらの二つのできごとは、インタグの雲霧林が、私が「今、ここ」にいることを、実感感させてくれるために起こしてくれたメッセージなのではないかと思っています。


◆今、ここからはじまるストーリー

私はここで暮らしていくことにとってもワクワクしています。そして、ここで織り成されるスローライフ・ストーリーをできる限りみなさんと分かち合うことができれば幸いです!

明日、インタグへ戻りますが、数週間後に次の便りをお届けできると思います。


愛、平和、いのちのために
アンニャ、パチャ、ヤニ

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