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世話人・アンニャ・ライトのコラム


アンニャの日記:エル・ミラグロでのスローな生活5


雲霧林でのアンニャとパチャ(2003年1月撮影)

                          2004年6月11日

◆母そして活動家として

ああ、森の奥深くで暮らすことのよろこびと大変さ!
エクアドルはそんなコントラストが共存する場所です。

今、私たちはエル・ミラグロで急ピッチで建築中の石のオフィス兼住宅にいます。二人の幼子を連れて
厚板やセメント、建築資材を買ったり、ボランティアや作業員たちとミーティングをしたり、設計や測量をしたり、かんかん照りでも雨降りでもヤニを肩車して(小枝にひっかかれながら)山道を歩いたりしています。

時々「乳飲み子を抱えた母子が何をやっているのだろう」と自分を客観視することがあります。

ここ最近、エル・ミラグロへの山道を歩く間中、私の思考の大半を占めるのは、このような孤立した場所で、母親業と様々なプロジェクト、そして日常におけるチャレンジの連続を手品師のようにこなすのはとてもとても大変だということです。

もちろん、私よりももっとハードな状況下で母親業と生活をやりくりしている女性が大勢といることは知っています。けれども、彼女たちにはほかに選択肢がないことも事実です。

私にとってのジレンマ。それは私と子どもたちには他の選択肢があり、それらの選択肢が今の私たちにとってよい道であることを私自身が知っていることにほかなりません。


◆私にとってのチャレンジ

おそらく、すべての母親にとっての大きな試練は、個人的な目標やキャリアを手放してしまうことなのではないでしょうか。少なくともある一定期間は。

私の人生におけるミッション(使命)は地球を救うことです。この使命に導かれて私はエクアドルにやってきました。

先日、親しい友人でナマケモノ倶楽部を一緒に立ち上げた世話人の一人でもある中村隆市さんがここ(エクアドル)にやってきました。そのときに強く悟ったのは、私にはもはや企画中のプロジェクトやミーティングに参加したりできない状態にあるということ。子を持つ前の私だったら、全力で関わってこれたことなのに・・・。

これは誰のせいでもありません。私が受け入れなくてはいけない現実なのです。私は、かけがえのない子どもたちと一緒に世界を魔法のように飛び回って人生を楽しみたい。
だからこそ「ゆっくり生きる」ことが、今、私に試されているのです。

◆エル・ミラグロで「スロースター」!

今回は、中村さんの部下としてブラジルでオーガニックカフェを営むクラウジオ・ウシワタもエクアドルにやってきました。クラウジオはナマクラのエクアドル駐在員・和田彩子と一緒にエル・ミラグロを訪ねてきてくれました!和田さんがたくさんデジカメで写真を撮ってくれました!

私たちが今回やったスローなこと。それは「スロースター」です!(スロー+ローストをかけた世話人・中村さんの造語です)一週間前に、私が、ここエル・ミラグロで最初の収穫として、ほどよく熟れた赤いコーヒーの実を摘んで、皮をむき、乾燥させてからもう一度皮むきしたものを、鍋で焙煎し、手で挽いてドリップしました。

一杯のカップコーヒーができるまでの長くてスローなプロセス!
味が絶品だったことは言うまでもありませんが、それ以上にすべて手作業で行われたことへの満足感がありました。

私たちはまた大豆を調理して味噌作りにも挑戦しました。今回は、麹(こうじ)を持ってくるのを忘れたことで、ちょっと手間取りました。そこで、この「味噌を作ろう!プロジェクト」は、味噌を発酵させるのに必要な9ヶ月よりも時間がかかることになりました。


◆石の家作り、続行中!

中村さんとクラウジオを空港に見送りにいった数日後、今度はナマケモノ倶楽部メンバーで古い友達のキノ・マクドナルドと、66歳の世界を旅する冒険家、キャシーがやってきました。

彼らと共に、もちろんセメントや厚板をトラックに積みました!さっそく私たちはプカラというエル・ミラグロにいちばん近い小さなコミュニティから歩きはじめました。

滑りやすい山道を、赤ん坊と食料とともに下っていきます。途中でアメリカ人のボランティアのリックとルイスとセザリオが到着したので、建物の基礎工事に必要な砂利を馬の背中に乗せて運びました。


◆石で家をつくる理由

石の家は24平米ぐらいですから、そんなに大きくはありません。けれども準備段階でやらなければならないことはまだいっぱいあります。

私たちは石で家を建築しようとしています。この土地に天然の材料として石がいっぱいあるから。それに森林伐採に加担せずにすみます。

問題は地元の人も(私たちも)石の建築技術を知らないことです。そこで私たちはカルロスから借りた本の指示に従って作業をすすめています。心の底から家が完成するのを願っています!

つらい作業なだけに、完成した建物を想像するときはとてもワクワクします。毎晩目は閉じていても私の脳はフル稼働!家のパーツごとのサイズを考えたり、壁にどうやってワインの空き瓶を埋め込もうかというような細かいデザインを具体的にイメージしています。

このワクワク感は、ここで最初に建てた八角形のキャビンのときに感じたものと同じです。そして、今も使っているキャビンはエル・ミラグロをこんなに快適な場所にしてくれたのです。


◆真のスローライフ・スペースをめざして

この石づくりの新しい建物では、私たちは真の「持続可能な生活」をめざしています。ノートパソコンを稼動させるくらいの電力はソーラーパネルでまかないます。防水対策も万全でオフィス仕様。9月までには電話線が引かれ、インターネット環境も整うでしょう。

そうなれば、エル・ミラグロは、学生、作家、そしてもちろん本物のスローライフを満喫したい人達にとっても最適な場所となるはずです。

ぜひみなさんの周りにエル・ミラグロのことを知らせてください。そしてここに滞在したいなと関心をもった方はどうぞお気軽にコンタクトしてください。

日本語: 和田彩子 <wadaaya@a2.mbn.or.jp>
英語: anja light <pachalina@yahoo.com>


エル・ミラグロではやっと無線システムが導入されました!これで緊急時にはカルロスとサンディーにすぐ連絡を取ることができます。これは私にとっては「心のセイフティネット」です。ふだんは近隣の友達とおしゃべりできる便利な道具でもあります。

◆エル・ミラグロでキャンドルナイト!

建築作業を続けながら、私たちは、来る夏至の日に、地元やボランティアの友人たちを招いてエル・ミラグロでキャンドルナイトをするプランを立てました。

川のそばの雲霧林(うんむりん)にたたずむ私たちを想像してみてください。電気なんてありませんから、
わざわざ「消灯」する必要はありません。

みなさんにとって、夏至の日が、平和でスピリチュアルで素敵なキャンドルナイトになりますように!


愛、そしていのちのために
アンニャ・ライト

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