世話人のコーナー
辻信一
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アンニャ・ライト
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世話人・アンニャ・ライトのコラム


アンニャの日記:エル・ミラグロでのスローな生活6

2004年7月7日


◆スローはいそがしい?

こうやってみなさんにレポートを書くのがだいぶ久しぶりになってしまいました。エル・ミラグロで起こるできごとが、あまりにたくさんあるからです!

今、目の前では、パチャがインタグからの道のりで濡れて泥んこになった洋服を洗うのをヤニが手伝って
います。そんな子どもたちの様子を見守りながら、そして何度も作業を中断されながら、この文章を書いています。

スローなことをしていたって、「いそがしい」のが現実です。美しいキャンドルナイトの企画、エル・ミラグロのプロモーションビデオの撮影、新しいエル・ミラグロオフィスの建築・・・、日本と同じくここでもスローな企画が目白押しです。


◆キャンドルナイト報告@エル・ミラグロ

キャンドルナイトイベントでは、世界中からボランティアにやってきた素敵な仲間たちとともにエル・ミラグロに集いました。彼らは6月21日に、それぞれの場所から一日かけて歩いてきてくれたのです。

何人かは21日の早くにエル・ミラグロに到着したので、建築中のオフィスに使う石や砂を河原から運ぶのを手伝ってくれました。陽が沈むころ、みなでキャンプファイヤー用の廃材を集め、私は野菜炒めに取りかかりました。(私はシンプルでボリュームたっぷりでおいしい料理を作る腕があがりました!)

リック、スティーブ、ジャッキー、スコット、ルイス、カーラ、スーザ、キノ、ドリット、アヤそしてフィル。彼らの故郷はアメリカ、ハンガリー、ドイツ、日本、ニュージーランド、オーストラリア、エクアドルと国際色豊かです。さらにサンディー、カルロス夫妻そして息子のマーティンも加わりました。

その夜を、私たちは一緒に歌を歌い、思いをわかちあいました。焚き火から飛び散る火の粉とキャンドルの灯りは、まるでホタルが舞っているようでした。

終わりに、私は今晩エル・ミラグロに集ってくれたことと、建築作業を手伝ってくれたことへの感謝の言葉をみなに述べました。同時に、かつてボランティアで滞在していたナンシーによって敷地内にデザインされた迷宮模様の石を、今回の建築資材に使うことへの許可を求めました。


◆スローな家造りの経過

エル・ミラグロでは、すべてが順調にすすんでいます。事故も病気もなく、また私たちの建築作業を助けるかのごとく晴天に恵まれています。

工事の進捗状況はといいますと、シャンティとハーキュレ(馬)の背中にセメント袋と岩、砂を乗せて建築現場まで運びます。彼らの働きには脱帽です。

建築現場では、測量にあわせて壁用の型枠をつくり、すべてが真四角で等分かどうかを正確に測っていきます。それから、セメントをこね、石を混ぜたものを壁に塗りこんでいきます。

数日してセメントが乾いたら、型枠をはずします。これで外観は素朴だけれど、雨風に強い実用的な壁の完成です!

私たちが別の場所から建築用の砂利を集めているときに、実は私たちはもうひとつのミニハウスをつくっていることに気づきました。次のボランティアがやってきたときには、エル・ミラグロに土壁作りの瞑想小屋を建てる仕事に加われることでしょう!


◆大自然の中で育まれる子どもたち

今は、まさにコーヒーの収穫時期で、毎日私はコーヒーを飲むまでのスローなプロセスに挑戦しています。
最近のお気に入りは、川の土手に座ってコーヒーの実の皮を剥くことです。パチャ、ヤニは裸で川に石を投げて遊びます。

ヤニはようやく独り立ちができるようになりました。土手に立つバランス感覚はみごとです。もちろんパチャのおてんばぶりも健在です。近くの雲霧林に住む鳥たちの鳴き声に負けじとかなきり声をだしています。

赤いコーヒーの実が焙煎されて粉になるまでの長いプロセスは、ヤニにとっては興味深々のよう。乾燥した生豆やバケツの中の赤い実は、ヤニの視界に吸い寄せられ、それらをひっくり返して遊ぶのです。

私がゆっくりと一杯のコーヒーを口にするとき、いつもこのことを思い出します。そして、世界中の友人とインタグコーヒーをわかちあうとき、いつもこのエピソードを思い出したいと思います。


◆エル・ミラグロのプロモーションビデオ!

さて、私は追加で必要な資材の調達と世界中にボランティア協力のお願いメールを打つために、いったんコタカチに戻りました。

すると突然、地元のおじさんボランティア、ホセがコタカチエコロジーセンターにやってきて、彼の器材を使って私たちの活動のプロモーションビデオを取りたいと申し出てくれました!

問題は、彼がアメリカに旅行するまでに残された時間が数日しかないということ。私は即答でエル・ミラグロのビデオを作ることを受け入れました。キノがいるので、日本語のナレーションもばっちりです!

すぐさまトラックをアレンジし(今の時期、プカラへの道路が開通しているので、コタカチからの帰路を3時間短縮できます)、撮影ポイントのリストアップとナレーション原稿を用意しました。(キノがそれを日本語に訳してくれました)

6月26日、ホセがエル・ミラグロに到着し、朝9時から午後3時まで50分ほどの映像を撮り集めました。

その二日後、20分に編集されたプロモーションムービーが私たちの手元に届きました!私たちはそれを世界中の友人にコピーして送っています。

ホセはスペイン語でコタカチエコロジーセンターについて説明した10分のビデオも一緒につけてくれました。(私も出演してます!)日本のナマケモノ倶楽部事務局にもDVDを送りましたので、みなさんぜひエル・ミラグロのストーリーを見て知っていただければと思います。


◆開発モンスターへのオルタナティブを示そう

時が経つのは本当に早いもので、コタカチ・エコロジー・センターやエル・ミラグロに関わる仲間はみんな忙しそうです。(ナマケモノ倶楽部では禁句のコトバですね)

今、私たちはコタカチ・オルタナティブ・エキスポ2004の準備で大わらわです。ここコタカチでは、世界でも有数の銅山への開発の脅威が忍びよっているのです。「近代型の開発」というファストなモンスターを誰も
止めることができず、フニン地区そしてインタグ地方の全域が、脅威にさらされています。この件に関する地元住民たちの連帯の訴えは、地元の環境保全団体DECOINを通じて、世界中に発信されています。
みなさんもぜひご協力・ご支援をお願いします。

このままオフィスの建築作業が順調にいけば、2週間以内に屋根がつくでしょう。みなさん、今からエル・ミラグロを訪ねる予定をたててくださいね。どなたでも大歓迎です。ここでポジティブなエネルギーを注入して、持続可能な未来へのビジョンをわかちあいましょう!

来週には、ナマケモノ倶楽部理事のリエ(横山理絵)が半年の滞在ボランティアとしてやってきます。リエとキノがエル・ミラグロについての感想やビジョンを書いてくれるかもしれません。

では、また次の便りまで。

アンニャ、パチャ、ヤニ

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