2004年7月26日
◆アンニャの決断
これまでのエル・ミラグロへ何度も足を運ぶなかで、「エル・ミラグロプロジェクト」が、ビジョンから現実のものとなってきていることを実感しています。
一方で、私は今年9月末から1〜2年を、私の家族がいるオーストラリアで過ごすという決断を下しました。
このお知らせをみなさんに報告することは、ある種の「つらさ」も感じています。しかし、みなさんにわかっていただきたいことは、この決断は私がエル・ミラグロを否定的に思っているからではないということです。それどころか、エル・ミラグロは、以前にもまして美しく、そして快適になっています!
ではなぜオーストラリアに戻るのか。
それは幼い二人の子どもをもつ母親という現在の私にとっての、最善の策と悟ったからです。
1〜2年もすれば、ヤニは自分の足でインタグの山道を歩けるようになるでしょう。ヤニを背負う私の負担も減ります。
ヤニは7月に1歳の誕生日を迎えました。今や体重は13kg。ようやく独り歩きができるようになったところです。山歩きできるようになるにはもう少し時間が必要です。
家族や経済的なサポートがない状態で、二人の幼子をここエクアドルで育てるという試練は、今の私には厳しすぎました。
家族や(自治体による)福祉のサポートがあるオーストラリアに戻ったほうが、地球に対してもっと私が貢献できると感じています。そして、オーストラリアには、活動のネットワークやキャンペーンを展開する機会があるのです!
◆求む!ボランティア!!
そこで、今、私たちに必要なのは、エル・ミラグロに住み込みでボランティア活動をしてくれるあなたの存在です!あるいは、エクアドルの雲霧林に囲まれて本物のスローライフを体験したいと願う誰か(あるいは家族)の紹介です。
インタグ地方は、今大変重要な局面を迎えています。かつてない鉱山開発の脅威に曝されているのです。エル・ミラグロは、このような時代遅れの「発展妄想」に対して、持続可能な発展ストーリーを発信する拠点となりうることでしょう。
エル・ミラグロの設備としては、ソーラーパネル付の美しい居住スペースに、インターネット環境(10月から)、よく肥えた庭地にきれいな川、空気、そして心優しいシャンティ(馬)がいます。
ここ2ヶ月でエル・ミラグロはナマケモノ倶楽部のボランティア、キノの活躍によってみちがえるほど素敵になりました。彼は旅行中に立ち寄ってくれたのですが、家の建築作業に情熱を注いでくれています。キノは今や地元コミュニティーにも溶け込み、ルイスやその家族とともに時間を過ごしています。
またキノは、代替医療についての知識も深く、ボランティアたちに手ほどきしたり、ギターを弾いて愉しい夜を過ごすパフォーマーでもあります。私はキノと一緒にセッションをして、ヤニのための新曲作りにも取り掛かりはじめました。
もう一人の日本人ボランティア、シュウジもエル・ミラグロでの仕事に精を出してくれています。(彼はインタグの蚊に大量の食料=血も提供しました・・・!)
もちろん、ナマケモノ倶楽部理事としてエクアドルにやってきた横山理絵も、素晴らしい働きをしてくれています。彼女はパチャを抱っこして細いつり橋を渡るという「エル・ミラグロ上級試験」に合格しました!そのほかシャンティをプカラから農場に連れて独りで帰ってくる(道しるべのない川を渡りながら)という大役もこなしました。これまでの理絵の人生でこんな経験をしたのはきっと初めてではないでしょうか。
◆動物と人間との共存
エル・ミラグロでのここ数ヶ月の中で、私にとって特別の体験をみなさんにおすそわけしましょう。
ある明け方、ベッドルームの窓枠に、突然、鷹が舞い降りてきました。彼は起きぬけの私たちを窓の外からじっと見つめています。まるで彼が父親として私たち家族を受け入れてくれているようでした。あるいは、その鷹はヤニの1歳の誕生日を祝いにかけつけてくれたのかもしれません。
このほか、私たちにはリスの友達もいて、とうもろこしを一緒に食べたりしています。
少しずつではありますが、緑色のガラス瓶でふちどられた窓の完成を経て、エル・ミラグロの家は、魅力的で雨風に強く、居心地のよい家に加えて、有機的になってきました。
◆人と人とのつながり
今月の大きな達成事項、それは、屋根と床に必要な木材を調達・運搬したことです!40本もの大木を、3日間かけて険しい坂道を転がしてくれた5人の男たちの仕事には、ただただ脱帽です。(木材は長いので馬で運べず、人力しか手段がなかったわけです)それぞれの丸太は50kgはあります。インタグの男たちの体は、(美しく厳しい自然の中で生きぬいていくために)まさに鋼のように鍛え抜かれているのです。
彼らの仕事に感銘を受け、私もひとつの決心をしました。
小柄な男たちでさえ、私の想像以上のことをやってのける。ならば、彼らの肉体的な提供に対して、私は心をこめた食事を提供しよう。
大人数の食事(スープ、ごはん、豆、揚げバナナ、ポップコーン、オレンジジュースなどなど)を用意し、それらの皿が空になるのを見ることは、大いなる充実感を味わえます。また、原材料がほとんど同じでも、毎回の食事を工夫してちょっとずつバリエーションをつけることには、やりがいを感じずにはいられません!
金曜日で用意した食料が底をつきました。ボランティアで重労働に徹してくれたルイス、フィデル、マウロ、セサリオ、キノたちが下した結論は、「食事がとっても美味しいから、来週も戻ってきてまた作業を続ける」といううれしいものでした!
◆進化し続けるエル・ミラグロ
今や、私は、石の家作りのタイムリミットを完全にずらしました。
当初の計画では、6月の終わりには完成しているはずだったんです。
なぜって、私が想像したとおり、まさにエル・ミラグロは日々進化し、成長しているからです。
うまくいけば、8月中旬にはエル・ミラグロオフィスの完成を祝うことができるはずです!
といってるそばから、実は、今週、コンクリートの壁に1本目の丸太を設置した後に、私たちは、建物が平屋なのはもったいないという結論に達しました。
立派な外観を見ていたら、バルコニーに沿って中二階を作るだけの木材の予備があり、4m×6mくらいのスペースを拡張できそうなことに気がついたのです。
来週までには、常に変化し続ける建物にもう一つスペースが加わっているかもしれません。
というわけで、みなさんがエル・ミラグロにやってくることを心からお待ちしています。そして、今度はみなさんが「エル・ミラグロからの日記」をつづって、スローでサステナブルなライフスタイルのビジョンを自らの体験をもって示してくれることを切に望んでいます!
いのちのために
アンニャ、パチャ、ヤニ
|