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【レポート】ナマケモノmeetsべてるの家
       べてるまつり in 浦河

ナマケモノのみなさま、こんにちは、事務局の田中です。6月25日から4日間にわたって、「べてる祭り」と「カフェぶらぶら」のリニューアルオープンイベントに参加するため、北海道に行ってきました。 ナマクラからは事務局(馬場、田中)を含め総勢11名の参加となりました。
今回は2日間にわたるべてるまつりを中心にレポートしたいと思います。

『べてるって何?!』

今から30年前、北海道浦河町で精神障害を抱えた人たちが「町のために出来ることはないか?」と考えたところから生まれたのが「べてるの家」です。浦河町は札幌から車で約3時間半の太平洋と日高山脈に囲まれた、日高昆布とサラブレッドの町です。べてるの人々は理念の一つである「弱さを絆に」を実践すべく、特産品の昆布を販売するなどの地域貢献を通して町の人とつながっています。また、「当事者研究」を通じて全国へ活動を発信していくこともしています。
べてるの詳細はこちら

『ナマクラとべてるの出会い』

2007年の冬、ナマケモノ倶楽部とべてるは出会いました。ナマケモノ倶楽部が大切にしている「人と人との繋がり」と、べてるが提唱する理念が共鳴し、そこから今回のつながりが生まれました。そして、べてるの活動拠点である「四丁目ぶらぶらざ」(通称:よんぶら)は、このナマクラとの繋がりによって、2009年6月28日、『カフェぶらぶら』としてリニューアルオープンすることになったのです。
◆6月26日 その@当事者研究全国交流集会 
べてるまつりは今年で17回目。
中でも当事者研究全国交流集会は今年で6回目を迎えます。


特別公演には香山リカさんが登場。

メンタルヘルスについてなどの執筆活動もされていますが、今回のお話は主に精神科医になるまでの道のりについて。人と接することがあまり得意でないと思っていた香山さんは当初山奥に籠って天気を調査する天気観測士を志したこともあったとか!?

等身大の自分の姿を、飾らない言葉でお話される姿がとっても印象的でした。


休憩を挟んで当事者研究分科会です。
テーマ別にそれぞれの部屋に分かれ、発表が行われました。事務局タナカは1時間という限られた時間で2つのテーマをハシゴすることに。

テーマは@病気・身体A生き方B家族・恋愛C仕事の4つ。
参加者も真剣に聞き入っています。
分科会を通して、当事者の皆さんの「自分の病気の発表に対し冷静である」点に驚きました。自分自身を研究者として位置づけ、客観的に自己の病気と向き合うこの研究。まさに援助や支援に頼らず解決の糸口をつかもうとする、この自助プログラムの賜物でした。
会場を再度移してここから全大会の始まりです。
壇上には司会の向谷地さんと香山さん、先ほど発表された当事者研究メンバーが勢揃い。
「べてるは援助・治療からにわかに離れ始めたことをどう思いますか?」

という向谷地さんの質問に対し、香山さんは

「医療側からは何もできない、苦労している(当事者)側から見始めたら苦労の見え方が違う」とコメント。

「20数年精神科医として働いてきたが、今回参加して大きな曲がり角になりそうな気がする」
と感想を述べられました。

『神様 私に

与えてください

変えられないことを

受け入れる落着きを

変えられることを

変えてゆく勇気を

そしてこの二つのことを

見分ける賢さを 』

クロージングを飾るのは、べてるで結成10年目のバンド、パンチングローヴによる歌「祈り」です。
最後は会場にいる参加者と一緒に歌い、弱さという絆で会場全体が心地よい空気に包まれ初日が幕を閉じました。
6月27日 そのA幻覚・妄想大会
べてるまつり二日目のオープニングはべてるメンバーによる「べてるのずんどこ」でスタートしました。会場はコブシの効いた歌声でいっぺんに引き付けられるから不思議です。
続いてトークセッションには、今回の「カフェぶらぶら」改装に関わった4名が登場。舞台後ろには今回の改装で残った藁と植物が置かれ、雰囲気を盛り上げてくれました。
(左から)
・司会のべてる代表、向谷地さん
・カフェ運営などの点からサポートに当たったカフェスローの吉岡淳さん
・設計を担当したスローデザイン研究会の大岩剛一さん
・ストローベイル建築の指揮を執られたカイルさん
・内装仕上げを担当した浦河育ちの佐官職人である野田肇介さん
トークセッション本編は、それぞれの観点から今回の改装を振り返ります。

デザインにおいて、「地元の素材を使用する」ことにこだわり、流木の使用や天井の間伐材(カラマツ)のお話をされたのは大岩剛一さん。
カイルさんの番では、5月に行われたワークショップで地元浦河の皆さんと一緒にカフェを作ったときの様子などが映し出されました。
野田さんは、ワークショップを通じて障害をもつ方との初めての共同作業の感想と、「家具・左官・デザイン」をキーワードに、さまざまな現代手法を交えた新たな左官の可能性をお話されました。

続いてワークショップに関わったべてるの皆さんが登壇し、当日の感想を披露。

中には「服が汚れて嫌だった」という発言もあって司会者もびっくり!?

いえいえ、べてるメンバーはそんなことで驚きません。 みんなばらばらなのがべてるのいいところでもあるのです。

さらにべてるメンバーからはカフェぶらぶらの新曲お披露目が急遽行われるなど、予想外の展開にゲストの4人も大笑い。

ナマクラの活動がべてるの精神とリンクし、すごく広がった。お互いの活動が今度広がるようになるといい」 カフェスローの吉岡さんが感想を述べられると、会場からは拍手が沸き起こりました。


休憩をはさんでいよいよ「幻覚・妄想大会」の始まりです!
幻覚妄想大会とは、この一年でべてるのメンバーが体験した幻覚・妄想で最もユニークだったものを表彰するものです。

幻聴に振り回されたり、解離やその他病状に苦しんだおかげで獲得できる賞の数々。みんなで笑って、その苦労を表彰する。そして、この体験を次に活かせるよう、べてるのメンバーが用意したプレゼントは手作りの心温まるものばかり。ユーモアセンスも決して忘れちゃいません。

なかでもグランプリを取ったのは、幻聴に振り回され近くの公衆トイレに4日間避難したというMさん。苦労が多かった分、受賞の喜びもひとしおのようです。
その他受賞された皆さんの詳細はこちら

      受賞の喜び語ります。                    ここで寝泊り!
さらにMさんの頭の中で起こったことは、プレイバックシアターという形で、再現されます。こちらがその時の様子。


※プレイバックシアターとは、観客や参加者が自分の体験したできごとを語り、それをその場ですぐに 即興劇として演じる(プレイバックする)独創的な即興演劇のことで、札幌の「プレイバックユー」さんが毎年べてるまつりに駆け付けてくださっています。(べてるHPより抜粋)

最後はお待ちかね、「降りてゆく生き方」の上映会です。
この映画は、べてると関わりの強い清水義晴さんの著書「変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから」が原作となって製作されました。タイトルはべてるの理念からとられています。

主演を飾るのは、かの有名な武田鉄也さんです。そして新潟が舞台となるこの映画の特徴のもうひとつは、多くの地元のエキストラが参加されいることです。その素晴らしい演技をプロデューサーの森田さんが壇上で讃えられるという心温まる一面もありました。べてるのメンバーも参加されていて、メンバーが映るたび、会場からは楽しい笑い声が聞こえてきました。さらに 上映後は、倉貫監督らの舞台挨拶中に特別ゲストとして、俳優の権藤栄作さんが登場するというサプライズも!
「人と人とのつながりを取り戻したい」という作り手の想いが伝わるとても素敵な作品でした。

◆2日間のべてるまつりを終えて

とにかく驚いたことはこの小さな町、浦河に集まった人の数です。2日間にわたり開催されたこのイベントに総勢約1000人が訪れたそうです。
ここは、アクセスの良い大都会ではありません。にも関わらず全国各地から集まった参加者の想いに心動かされました。

目を覆いたくなるような様々な問題を抱え、諦めやため息が聞こえてきそうな現代社会ですが、一人ひとりの想いがつのれば、こんなに温かく、そして力強い場を作りだせるんだということを身をもって実感できた2日間でした。
そして、この弱さを絆にした「つながり」をナマケモノ倶楽部の活動の中心にも据えて行けたらいいなと思ったのでした。


ナマケレポーター:事務局 田中
フォト:事務局 田中

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