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2004年のイベント

金色のナマケモノ〜石垣金星さんを囲む会〜 報告(文:後藤 彰)

 全ての旅好きの人、旅行会社のみなさん、

 4月1日西表島にユニマットの環境破壊型リゾートがプレオープンしたらしいです。ずーっと前からそのオルタナティブとしてのエコツアーを実践していた石垣金星さんと話して、ピラチカ族は思いました。

「リゾートよりも100倍楽しそう、金色のナマケモノとの旅」

 金色のナマケモノ〜石垣金星さんを囲む会

 2004年3月21日、新月の夜にカフェスローで西表から上京していた石垣金星さんをお招きしてお話を聞く機会を設けることが出来ました。ピラチカ族が訪れた時の西表の写真や映像、金星さんの三味線(サンシン)と唄のライブ、お話、ワイルドキャットコーヒーにオーガニック・フードと会場は良い雰囲気に包まれた。


「西表の豊かさ〜自然・人々・文化〜」

 西表は日本最南端の八重山諸島に位置し、面積は、約2284.44平方キロメートル沖縄県では沖縄本島に次ぐ2番目に大きな島だ。その島には豊かな自然と生態系、人々の暮らしと文化がある。島の南から北に流れる浦内川の総全長は39キロあり、沖縄最長の川だ。その川の上流には「カンビレイの滝」があるが、そこは西表の神々が年に一度集って車座になって島の将来を話し合うと言われる神聖な場所だ。浦内川の下流から河口にかけては干潟とマングローブ林が広がっている。汽水域に生息するマングローブは多様な生態系を育む母胎のようなもの。その干潟に隣接した所にはトゥドゥマリの浜(月ヶ浜)がある。砂浜は不純物がない「鳴き砂」で、歩くと「キュキュ」とかわいい音をたてる。その浜には海ガメが産卵に上がってくる。また、年に一度その浜では神々と人間が共に踊り唄い酒を呑む「神遊び」という行事も執り行われる。島の人々にとって神聖な浜だ。

 西表の自然は単なる自然としてあるのではなく、そこに住む人々との関係性の中で意味のある自然となっている。そして、そこに愉快な人々と豊かな文化が根付いている。人々は山に入り猪を獲り、海に入り魚貝を獲り、土地を耕し米や野菜を収穫する。そして、何かにつけて演奏し、唄い、酒を呑み、語り、季節の中で行事や祭を執り行う。金星さんは「発展とは人間性と文化の豊かさのことを言うんです」と話してくれた。


「外からやってきた大規模リゾート開発」

 だが、そんな自然も文化も人々も豊かな西表で「発展」の意味を取り違えているリゾート開発が進行している。それは、島の人々が神聖な浜として大切にしているトゥドゥマリの目の前に建設されている。現在第一期工事がほぼ完了し、2004年4月にはプレオープンとなるという。浜がある西部の人口は1000人に満たないが、巨大リゾートが全て完成すると1000人以上の観光客が宿泊可能となるという。その時に出るだろうゴミ、排水などの問題には納得いく解決策が出されていない。排水は浄化してリゾートホテルの庭に散水するとしているが、完全な浄化は現在の技術では不可能だ。すると、チッソやリンといった成分が大量にすぐ近くにある海に流れ込むし、潮の関係で浦内川の下流にまで達すると言われている。自然のバランスで成立している生態系は破壊されてしまうだろう。また、大量の観光客の流入は人々の生活も変えるだろう。島のゆったりとした速度とはあまりに違う観光や人の移動の速度は必ず軋轢を生むだろう。生活が変わるということは文化も変わることを意味している。大規模リゾート開発によって島全体が影響を被りかねない。金星さんはそんな危機感から中間達とリゾート開発を差し止めるための訴訟を起こしている。

 リゾート開発側や賛成する人々は言う。「島の発展のためには良いんだ」「地元に雇用が生まれ、お金が落ちる」と。だが、歴史的にリゾート開発は失敗してきている。トゥドゥマリから見える廃墟は70年代に建設された「太陽の村」というリゾート跡だ。それに、地元の雇用というのも実際には疑わしい。現在進んでいる工事でも働いているのは九州の会社の人が大半だという。
(リゾート開発についてより詳しくはJANJAN や西表の未来を創る会へ)


「オルタナティブな可能性〜農業とエコツアー〜」

 では、金星さんは大規模リゾート開発ではない形での島の豊かさをどう考えているのだろうか?彼は「私たちは農業を基盤に持っている。そして、プラスアルファでエコツアーをやっていく」と語ってくれた。自分たちの生活の基盤を豊かな西表の自然から農業を通して成立させているのだ。「私たちは海にも出るし、山にも入る、田んぼや畑もやるんですよ」とのこと。実際、西表の食生活は豊かだ。節祭の時には、海・山・田畑の幸をふんだんにご馳走してもらった。カマイと呼ばれる猪の刺身や無農薬有機米、黒紫米、さまざまな野菜や魚。お腹が一杯だと思っていても、ついつい箸が出るおいしさだった。

 そして、プラスアルファで西表の豊かな自然や生態系、人々や伝統文化を人々に紹介するエコツアーをやっていくという。エコツアーではあくまでも自然や土地の人のリズムやペースに観光客が合わせる。例えば、ある自然が豊かな場所を6ヶ月間開放したら、6ヶ月間は人が入らないようにして自然を休める。また、一度に受け入れるツアーの人数を16名程度にして、自然に負荷が掛からないようにするなどの方法が採られるだろう。さまざまな制限が出てくるが、充実していて質の高いサーヴィスを提供して、それなりの対価をもらうという仕組みとなる。エコツアーは島のペースに合った旅になる。基本は「よ〜んな(ゆっくり)」だ。

 金星さんは「西表は自然が豊かだと言われるが、自然だけではなくてそこに暮らす人と文化にも触れて欲しい」と言っていた。伝統的な民具を創る職人肌の人や天然素材を使って染織をする人、三味線や民謡の名手、酒を呑むととにかく陽気になる人、口は悪いが優しく「これおいし〜よ。もっと食べて呑みなさい」と気遣ってくれる人などなど島にはさまざまな人がいる。そして、その人々が織り成す文化がある。そういった人々と文化に触れることもエコツアーの一環になってくる。

 「とにかくお金を第一に考えると変なことになってくる。お金は後からついてくるものだし、そんなにたくさんはいらない」と金星さんは語る。「足る」を知る。発展とは人間性と文化の豊かさだ。島の自然と人々、文化に触れて出会うゆっくりとしたエコツアーは、島全体を変えてしまいかねない大規模リゾートを使う旅よりも、100倍楽しそうだ。

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金色のナマケモノ〜石垣金星さんを囲む会〜

 西表島を代表する文化伝承者、石垣金星さんが大事にする自然と文化のつながり (島という快楽)についてのお話から、現在起きているユニマット社によるの環境破
壊型リゾートの問題、そして、それに対するオルタナティブ(エコツーリズム)につ
いて考えます。セヴァンと一緒に訪れた西表で撮ってきた映像も流します。(2月、3月号のソトコト環境移動教室に載ったものです)

3月21日(日)16:00〜 *お店はこの時間まで通常営業しています

場所:カフェスロー(TEL:042-314-2833)
参加費:¥1,000(ワンドリンク 西表ワイルドキャットコーヒーなど付き)
主催:ナマケモノ倶楽部ピラチカ族

ユニマット問題についてはこちら

 前日には以下のイベントもあります。この日はイラク攻撃から一周年の日でもあ
るので次の日に企画しました。当日は、ウインドファームの中村隆市さん、次回沖縄
特集をする ピースカルチャーのフリーペーパーシナプス」のメンバー、ナマクラピ
ラチカ族やエコツーリズム族のメンバーなども参加の予定。ユニマットホテルの
オープンを控えた今これから発信できること、オルタナティブなつながり方について金星さんのお話しを聞き、意見交換したいと思います。

3月20日(土)15:30〜

◆ゆいま〜る・沖縄の会コンサート
西表島に伝わる島唄など、伝統芸能・技能の伝承者で郷土史家の石垣金星さんを招き、コンサートを行います。現在西表島では、月夜にウミガメが産卵し、島の神々が
降り立つと言われる美しい砂浜、トゥドゥマリ浜(月が浜)でリゾート開発が行わ
れ、そのことによる島の自然、自然と共にある暮らし、文化への影響が懸念されています。石垣金星さんはそのリゾート開発反対運動の先頭に立っている人物でもありま
す。

第一部:石垣金星コンサート
第二部:西表リゾート開発問題を考える交流会

日時:3月20日(土)15:30開演
場所:スペースオルタ(横浜市港北区新横浜2-8-4オルタナティブ生活館B1)
料金:当日2500円、前売り2000円〔中学生以下1000円)
詳細はこちらへ:ゆいま〜る・沖縄の会( TEL:045-472-6349)

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