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環境保全郡宣言、環境保全郡条例

2000年に行われた環境保全郡宣言とは、郡レベルで市民と環境の共存と持続可能な発展をうたうものである。そしてそれとほぼ同時に『環境保全条例』を発令した。(2001年4月19日公式採択)それは、コタカチ郡のすべての地域において、地域住民が主導の、社会、経済、文化、環境のあらゆる面での持続可能な発展および多民族、多文化市民としてのアイデンティティーの強化を目指すものである。

コタカチ郡は、代表民主主義に代わる参加型民主主義という政治形態のオルタナティブを見出したのである。環境保全条例では、郡の原生林と生物多様性の保護ならびに持続可能な運営が最高度に優先されるべきものであると宣言している。したがって原生林を、林業、生花産業、アフリカ椰子プランテーション、材木業、鉱山プロジェクト、その他全ての産業活動を起こすために伐採・破壊することは禁止されている。また自治政府は、その資源を保護し、持続可能な管理を行う原生林所有者には、その保護活動を支えるための財政支援を与えることを保証している。そして環境にやさしい農業、牧畜業、手工業、エコツーリズムといったオルタナティブ産業に重点を置いている。

民衆議会

1996年に先住民族キチュア出身として初めて郡知事に選ばれたアウキ・ティトゥアニャ氏が社会、経済、文化、環境のあらゆる面で持続可能な発展および他民族、多分かの市民としてアイデンティティーの強化を目指し、リーダーシップを発揮した。

また民衆議会という、先住民、メスティソ、アフリカ系エクアドル人地域の意思を迎え入れ、総合的な発展の視野をうまく補完する条例の枠組みを、子供から大人まで誰でも参加でき、自分たちの活動を自己評価し、それぞれの地域(都市部、アンデス地方、亜熱帯地方(インタグ))の住民のアイディアを取り入れ、以後の活動の計画、予算案を練る場を作った。

その取り組みから、コタカチ郡は、2000年にアラブ首長国連邦から「国際ドゥバイ賞」を、さらに2002年には、UNESCOから、「平和都市賞」を受賞。
UNORCAC(UNion de ORganizaciones CAmpesinas e indigenas de Cotacachi)
(ウノルカック、コタカチ農民および先住民組織連合)

元は、長年差別されてきた先住民族の人権を取り戻すために発足された。以後、国や自治体に考慮されていなかった農村部における水道設備、電気、学校設立、医療サービスなど、公共サービスの普及に務めてきた。

現在は、上記の他、コタカチにおける持続可能な農業等を推進を行っている。コタカチ郡の、主に先住民コミュニティーの食料自給を確保するが大きな目標で、agroecologico(アグロ・エコロヒコ、環境農業)という、環境を守り、健康を守るため環境農業に重点を置いて、コミュニティー内の児童の栄養摂取状態の改善や、バランスの取れた食事の重要性の教育、環境を汚染しない健全な農業の実習、アンデス地方固有の種子の保存などの活動を行っている。

その他、スペイン語と先住民族の言語、キチュア語の2ヶ国語教育、伝統医療、シャーマニズムなどキチュア民族のアイデンティティーを失わないようにする活動を行っている。

UNORCAC HP
コタカチ青年会
都市部、アンデス地方、亜熱帯地方(インタグ)の3つに分かれるコタカチそれぞれに青年会が存在し、都市部の青年会は、民衆議会とタイアップして、主に農村部の貧困層の人々の識字率アップのプロジェクトや、中古品の寄付などに従事している。

アンデスでは、ヤナ・ヤク(キチュア語で黒い川という意味)という川中心にある宿泊施設の運営とエコツーリズム、インタグでは、ナングルヴィという地区にある温泉プロジェクトを中心として環境保全に取り組んでいる。それらのプロジェクトを通して、コタカチの発展そのものの他、自分たち若者の声をコタカチの発展プロセスに活かしてもらい、自分たちの活動の場を広げていくことにつなげている。
コタカチ・エコロジー・センター (CEC)

このセンターは、もともと、ナマケモノ倶楽部の世話人、アンニャ・ライトさんがここコタカチで地元の人たちや海外からの旅行者、ボランティアに環境保全郡の情報発信しよう、そして活動の場を提供しよう、またここコタカチ郡産(インタグ)のおいしいコーヒーを飲んでもらおうということで、2000年に設立した。しかしながら、人手不足のため、一時は、ボランティア受け入れ以外は、機能しなくなっていた。しかし、せっかくの場所が、活かされていないことを憂慮したボランティアたちが、再オープンに踏み切った。

★コタカチエコロジーセンターHP

SINTRAL (シントラル、Sistema de INtercambio y TRAnsacciones Locales)
基本的に、LETS(レッツ:Local Exchange Trading System)を基盤としており、簡単に言うと、地域の人たちが、お金を遣わずにモノとサービスを受けられるシステム。エクアドルにおけるSINTRALのアイディアは、1994年に首都キトからバスで30分ほどのところにある、トゥンバコという場所にあるFundacion Educativa Pestalozzi(フンダシオン・エドゥカティヴァ・ペスタロッシ:ペスタロッシ教育財団。)の教師、生徒の両親、そこで働く人たちの間から始まった。最初は小さなコミュニティーのマーケットだったが、現在では、地域の住民グループが集まり、彼らの地域通貨システムを使い、彼らの間で交換の同意を行い、取引が成り立つシステムを確立。毎週日曜日、コタカチでは、このSINTRALマーケットが開かれている。
Jambi Mascaric (ハンビ・マスカリ、キチュア語で、健康の探索という意味)

UNORCACとともに、先住民族の人々、特に先住民の女性たちをサポート、例えば、識字率向上教育、生活のための信用貸付などをしている。お金がない人たちに食事を提供する救済小屋のような機能ももつ。特に力を入れて取り組んでいるのは、伝統医療、特に昔、使われていたハーブ、昔ながらの出産方法、伝統料理の復活、普及など。

Runa Tupari (ルナ・トゥパリ、キチュア語で、人々の出会いという意味)
UNORCACのひとつのプロジェクトとして始まったコミュニティー・ツーリズムを専門に取り組んでいる。現在4つの先住民族のコミュニティーにロッジをかまえ、先住民族の人々の暮らしや文化を体験できる、かつ先住民の人々の文化を破壊しない、生活に支障のないようなツアーを行っている。それにより、人々は、自分たちの文化を見直し始めた。また地元出身のツアーガイドの教育、育成も行っている。


ルナ・トゥパリHP
Inty Raymi (インティ・ライミ、キチュア語で、太陽のお祭りの意味)

コタカチ、オタバロのキチュア民族の自然の恵みを感謝するお祭りにあたる。コタカチでは、このお祭りが1年中で一番大きなお祭りで、コタカチは6月の2週間ほど、インティ・ライミ一色になる。人々は輪を作り、仮装し、町を練り歩きながら踊り狂う。中心にはギターやらハーモニカやら弾いたり、吹いたりする人たちが小さな輪を作り、その周りを囲むようにして、踊る人たちがぐるぐる回りながら踊ります。

ここの先住民族文化には、カソリックの影響が色濃く出ており、サン・ホアン(キリスト教の聖者の名前)とも言う。インティ・ライミで踊ることを、サン・ホアンを動詞化して、サンホアニャールと言う。踊ると言っても、地団太を踏んでいるだけのような感じである。音楽もずっと一緒なら、踊りもずっと一緒。でも楽しめる踊り。

インティ・ライミ初日は、シャーマンが湖のほとりで山、太陽、風、土などの神様を呼び、感謝の意を伝え、今年も実り多きことを願い、その後はコミュニティー内の家々を渡り歩く。コミュニティー内の結束や団結が目立つのと同時に、コミュニティー間の争いもあちこちで勃発するという意味で、コミュニティーが中心にあるエクアドルのキチュア族の文化の表裏を見ることができる。

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