南米赤道直下に位置するエクアドルは、多種多様な生態系の豊かさと、国内に13の文化が存在するという文化的多様性にも富んだ小さな国です。また自然の豊かさと対照的に、グローバル化、ドル化という世界規模の流れに苦しめられている国の一つでもあります。
債務返済のため、生態系の豊かさと共に豊かな地下資源を商品化しようとエクアドル政府が日本政府に鉱山調査を依頼したのが1991年。その後三菱マテリアルが鉱山開発調査をしたことを機に、世界的にも稀な雲霧林の中の小さな村“フニン村”(コタカチ郡インタグ地方)を中心に鉱山開発問題が始まりました。
開発予定地は雲霧林(うんむりん)が類まれな生態系を育み、2つのホットスポットも含まれています。この豊かな地に埋まっているのは、リード、ヒ素などの重金属と混合された銅、モリブデンなど。モリブデンは携帯電話の材料として近年需要が高まっているのでした。
鉱山開発プロジェクトがもたらす地元への環境的、社会的影響は大きいと専門家は指摘しました(詳しくはこちら)。」すなわち、多数の住民の都市部への移住、森林の伐採、採掘による地域の天候の変化、絶滅危惧種の動植物への影響、生態保護区への影響、基準値の100倍を超える重金属による水源地の汚染などです。それらが予想されていたにもかかわらず、情報は住民たちに公開されず、買収や汚職が横行し、ポーリング調査の段階で豊かな自然は荒廃していきました。
地元住民は、鉱山開発プロジェクトに団結して反対するために環境保全団体DECOINを1995年に結成、採掘の影響やプロジェクトに関する情報を入手し、反鉱山開発キャンペーンを展開しました。また、エクアドル国内外の環境と人権保護組織に情報を世界に発信することで、エクアドル政府へのプレッシャーをかけました。 |