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バイーア・デ・カラケス市とその周辺

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このページのメニュー→ 災害の街からエコシティへ|「エコシティ住民の実践ガイド」1人ひとりにできること
災害の街からエコシティへ

バイーア・デ・カラケス市は、マナビ県というエクアドルの中部に位置しており、太平洋に面しています。1997〜98年に起きたエル・ニーニョ、そしてその後間髪いれずに起こった大地震により、この町は壊滅的な打撃を受けました。

また1970年代より、盛んになったえび養殖業は、土壌侵食や河川の汚染を引き起こし、マングローブを中心とした豊かな生態系が目に見えて変化していきました。さらに「マンチャ・ブランカ(白い斑点)」と言われる病気が異常発生し、養殖産業を主な産業としていたバイーアの人々は大きな経済的被害を受けました。バイーア・デ・カラケス市は、エル・ニーニョの暴風雨や大洪水、大地震、マンチャ・ブランカと連続的に3つの大きな害に見舞われたのです。

町を再建していく中で、自然と共生する街づくりの必要性を人々は感じ、1999年2月28日、現地の市民団体などが中心となり、「エコシティー宣言」を行い、環境を考えた新しい街づくりを進めていく決意を確認しました。有機エビ池養殖、再生紙を使ったエコパペル、リオ・ムチャーチョ環境学校、エコ・キッズ・クラブ、エコツーリズムなど、環境保全と町の活性化を進めています。

「エコシティ住民の実践ガイド」(抜粋・2004年バイーア市発行、翻訳:井上智晴)

絶滅した生命は永遠に戻りません。
「ガイア」この緑の地球、我々の住まう母なる大地を守るため、今から行動に移しましょう。
地球がこれからも地球であるために、簡素な生活を続けて行きましょう。

パチャママ、そして地球は、祖先から受け継いだ遺産ではありません。我々の子孫からの借り物です。
被害の回復手段も知らないのに、なぜ人間は、この地球を破壊し続けるのでしょうか。
解決を見出す側に身を置きましょう。問題を起こす側になってはいけません。
まだ地球で暮らすことも知らないのに、どうして月に行こうとするのでしょうか。

木を植えることは、生命を植えること。
あなたの教養を見せて下さい。ゴミは分別して下さい。

きれいな町とは、掃除をする町ではありません。汚さない町を、きれいな町というのです。
廃棄物は宝の山です。活用することで、無駄にしてはいけません。
木材を捨ててはいけません。紙はリサイクルしましょう。リサイクルペーパーとは、命拾いした樹木です。

バイーアの進歩に向けて、毎日リサイクルに励みましょう。

●エコシティとは

人々の活動が持続的であり、環境と融和した都市の組織的エコシステムです。そこでは、現在と未来においても環境に破壊的な影響を与えないよう資源を最大限に活用する手段が用いられます。例えば、ゴミのリサイクルが実施され、飲料水管理、レクリエーション空間としての公園や自然保護区、相手へと伝える環境教育、代替手段、ゆとりあるエネルギーの確保、無公害の交通手段、健康的な空間などが挙げられます。

まず、エコシティの環境条例に則した展開を計画しており、自治体の参加を通して、住民の生活により快適な場所となるよう進められます。人々は、環境への意識を学び、それを発展させて、環境と天然資源に配慮した高い生活の質を享受します。

エコロジーな町は、とても生産的で進歩的です。そして、持続的であると同時に、住民は自給自足、自然への負荷軽減、ゴミゼロ化、汚染の無い都市農業、代替エネルギーと代替交通手段の原則を実践することができるのです。

バイーアを完全にエコロジーな町に変貌させるには、各分野で緩やかに進められるそれぞれのプロセスを、住民向け環境教育として長期的に実施して行かなくてはなりません。エコシティの例として、ブラジルのクリチバ、ニュージーランドのワイタケリ(Waitakeri)、エクアドルのロハなどがあります。

●バイーアがよりエコロジーな町となるには?

・浄水場、固形ゴミ処理、下水処理のインフラ設備を設立する。
・ゴミゼロ化運動の理念は、次の行動を伴います。
 -廃棄物の管理を向上。ゴミの減量、再利用、リサイクル。
 -ゴミ減量プログラムを実施。例えば、リサイクル不可、もしくは使い捨てボトルの利用を拒否する。ボリビアのある地域で実現したように、企業側にリサイクル瓶を要求する。
 -庭園や公園の有機物を全て集め、町の肥料となるようにする。
 -エコシティを監視する環境警備機関を設置して、住民への助言と知識の普及を行う。
 -道にゴミを捨てる人々への罰則と教育
・植物を植えてゴミを無くし、道をより綺麗にする。
・海岸や丘の共同清掃を行い、汚さないよう意識付けを行うことで、共同清掃の回数を減らす。
・自転車用道路を設置する。
・丘や傾斜地を完全に緑化する。
・環境との共存を促す法律や条令を定めることで、人々が知識を得て、環境へ敬意を示すよう促す。
・太陽光、バイオガス、風力、自動車の代替燃料など、代替エネルギーを活用する。
・汚染物質の発生や流出を減少させる。
・自動車の利用を控える。自転車や三輪車の利用を増やす。
・公教育に、環境関連テーマを盛り込む。
・歩道を整備して、住民により快適な町空間を生み出す。
・休憩やレクリエーションのため、緑の空間を増やす。
・公園、花壇、公共、民間のスペースで果樹を栽培する。

これらの内、いくつかのプログラムはすでにスタートしています!

●バイーアの経済活動が、環境により優しくなるには?

1.紙のリサイクル場に、分別済みの全ての紙を持って行きましょう
2.燃えないゴミは分別後、全てをリサイクルに回しましょう。
3.必要の無い電灯は消しましょう。省エネルギーの電灯を利用しましょう。
4.ゴミバケツに入れたゴミを、収集車の巡回時間に出すこと。(野良犬が荒らさないよう、夜間や収集時間外に袋に入れたゴミを通りに放置することは避ける。)
5.買い物はすべて、大口で行いましょう。大きなリサイクル容器を利用して、ゴミを少なくできるため、長い目で見ればとても経済的です。
6.洗面所、シャワー室、洗濯、食器洗いには、中毒性のより低いものを利用しましょう。できれば生分解性のものを選びましょう。地域の観光・環境局などで生分解性商品のリストを入手できます。
7.リサイクル可能な瓶の利用を推進して、使い捨ての利用は控えましょう。
8.リサイクルペーパー、もしくはクラフトと呼ばれる紙を利用して、パンフレットや案内冊子などを作りましょう。
9.漂白されていないクリーム色の、環境に優しいトイレットペーパーを購入しましょう。
10.虫の退治には、天然の殺虫剤か毒性の低いものを利用しましょう。例えば、ゴキブリ退治には“おばあちゃんの必殺技”と呼ばれる方法(小麦粉とホウ砂を混ぜたもの)を用いましょう。
11.決して海をゴミ捨て場の代わりにしてはいけません。

エコシティに関連する環境プロジェクト

-都市の高地4地区の14ヘクタールに及ぶ植林
-ラス・ルイーナスの森が広がるマリア・アウクシジャドーラ地区の植林と歩道づくり。
-エル・ピアングアル島とコラソン島のマングローブ植林
-ファンカ・プロデュースのリサイクルと有機農業プログラム
-リオムチャチョ・オーガニックファーム
-リオムチャチョ環境スクール
-ファンカエコロジースクール
-バイーア・エコシュリンプ養殖。(世界初の有機認証を得たエビの養殖会社)
-セロ・セコ自然保護区
-サイアナンダ公園の植林
-環境教育プログラム“エコスクール”
-郡内の参加型環境計画作成
-エル・バルサモ山脈保護区
-ウワラピキ公園とマングローブ保護区
-ボランティアが環境に接する機会を創出するプログラム

1人ひとりにできること

●レストランができることは?

1.食べ残しは、農場や養豚場で活用してもらいましょう。皮、果物の残り、野菜などが含まれています。
2.コーラやビールのフタを集め、保育園や学校で子供の遊びに使ってもらいましょう。
3.エビや魚の残りは必ず収集車へと渡しましょう。ポリ袋に入れて、通りに放置してはいけません。
4.ネズミ退治には、罠をしかけましょう。ネズミを寄せ付けないよう、通りに食べ物の残りを捨ててはいけません。
5.ペーパーナプキンの代わりに、できる限り布製ナプキンを使いましょう。
6.リサイクル可能な燃えないゴミは、分別しましょう。
7.洗面所、食器、洋服には、石鹸か生分解性の漂白剤を利用しましょう。
8.水は乾いたガラスのコップに注ぎましょう。プラスチックボトルや使い捨てコップを家庭内で利用してはいけません。より良い方法は、冷却水のサーバーを設置することです。また、できれば水の大ボトルを購入しましょう。
9.リサイクル可能な瓶でビールを販売しましょう。使い捨てのガラス瓶や缶で、ビールを提供してはいけません。

●ホテルができることは?

ホテルはゴミの一大生産地と汚染源です。改善には、次の方法を取る必要があります。

1.タオルやシーツを毎日洗うのは、水や洗剤を大量に浪費します。また、それは汚染源にもなります。これを回避するには、エクアドルだけでなく世界でも高い評価を受けるホテル、例えばホテル・エル・ヴェルデのシステムを導入しなくてはなりません。各部屋に、次のような注意書きを掲げてください。
世界中の多くのホテルで毎日タオルやシーツを洗うことは、何百万立方メートルの水と何トンもの漂白剤を使うこととなり、環境の悪化につながります。通常はシーツとタオルは毎日交換しますが、その必要がなければ、このカードを枕元に置いて下さい。当日のタオルとシーツは、交換いたしません。
2.各部屋には、ガラス瓶に水を入れて置きましょう。テーブルには、ガラスのピッチャーとコップを置きましょう。
3.決して、プラスチックボトルを置いてはいけません。
4.周囲を庭として活用したり、植木鉢や、水草を配置したりと、きれいに飾りましょう。
5.省エネの電球を利用しましょう。また、節水器具を使いましょう。
6.台所では、レストラン向けの助言と同じ方法を用いましょう。

●学校にてできることは?

1.教育施設をエコロジースクールへと変化させる試み。(エコスクールプログラム)
2.教室での紙ゴミは分別して、後にリサイクルをする。
3.家庭で実践できるよう、生徒と共に有機ゴミでコンポスト作りを行う。
4.学校から輩出された有機ゴミからコンポストをつくり、生徒と共に中庭づくりを行う。
5.学校の植物の散水には、洗面所の水をリサイクルするシステムづくりをする。
6.学校の壁に、環境に関連する壁画を描く。
7.6月の第1週のみを「環境週間」として思い出すのでは無く、年間を通じて常に意識する。
8.生徒がリサイクルについて学べるよう、当ガイドブックを活用する。
9.環境教育について、教師との話し合いを行う。
10.各学校にて、「ゴミゼロ宣言」を行う。また、授業後にゴミ捨て当番となる生徒を集め、教室の清掃を実施する。
11.廃棄物、段ボール、瓶などを再利用して取扱いパンフレットを作成する。また、お面づくりや、マチェ(水とゴムを加え砕いた紙)と呼ばれる紙を利用して瓶の装飾とする。
12.自家製のコンポストを利用して、学校や街、生徒の家庭に苗木畑をつくる。
13.きれいな学校とは、よく掃除をする学校ではありません。汚すことのない学校であることを覚えておきましょう。
14.学校単位でエコ・クラブをつくりましょう。エコクラブはリサイクルへの協力や、学校のコンポストづくりを手伝うこともできます。
15.生徒と共に、バイーア周辺にある自然豊富な地域を訪れましょう。セロ・セコ自然保護区、ルイーナスの森、ムチャチョ川、サラナンダ川、フラガタス島、コラソン島などがお薦めです。実際に行われるリサイクルを観察するには、ファンカプロジェクトやバイーア・ガーデンセンターを訪問するのがよいでしょう。

●子供にできることは?

1.このガイドに書いてある全てを読み、家庭できることは実践して下さい。そして、お父さんやお母さんに教えてあげましょう。
2.ゴミを道端に捨ててはいけません。そのような人がいたら、エコシティに住むことを思い出してもらいましょう。そして、この美しい街を守りましょう。
3.教室では、紙のリサイクル用のボックスを設置しましょう。また、自宅にもう1つ備え付けましょう。
4.地域や学校に、エコクラブをつくりましょう。クラブの活動を通じて、リサイクル可能なゴミの収集や、換金のためにリサイクル施設へ持ち込むこともできます。
5.両親や先生達と自然の中を散策してみましょう。
6.植物の葉や、花を摘み取るのはやめましょう。植物も生きています。パチンコで鳥を殺してはいけません。鳥も生き物です。

●職場、店舗、作業場、機械工、タクシーや自動車のドライバーができることは?

1.繰り返し利用し、リサイクルを行うために非有機ゴミ、段ボール、紙などを分別するためのボックスを用意する。
2.あなたの自動車やバスが排気ガスを異常に排出するならば、整備士に整備を依頼しましょう。エンジンには、公害防止の付属部品を取り付けましょう。
3.自動車、自転車、バスの中古部品を持ち込めるよう、金属を売れる場所を見つけておきましょう。REPACAは、アルミ、銅、鉄を回収します。また、サンビセンテでは、アルミをリサイクルしています。
4.使い古した油を、地面にこぼしてはいけません。牧畜業者向けに、容器に保存しておきましょう。
5.より環境に優しいのは、ガソリン「SUPER」です。鉛を含むガソリンには、付属部品を利用することで費用が一見かかりそうですが、長い目で見ればエンジンにも環境にも有益です。
6.魚介類の運搬車には、停車場所を汚さないよう、溶け出した氷水を受ける容器を備えましょう。
7.中古タイヤは、あなたの有益な時間を増やすために利用しましょう。古タイヤは、芸術分野で再利用ができます。タイヤを利用して小ビジネスを始めたい人を探してみましょう。古タイヤは種を蒔く際の容器となり、子供向けの揺り椅子にもなります。また、サンダルや支柱としても、活用できます。これらは、燃やすよりも優れた手段です。
8.停車時は、エンジンを停止しましょう。ディーゼル車であっても同様です。汚染源である排気ガスや騒音を撒き散らすよりも、新たにエンジンをかけましょう。
9.車内には、ゴミ袋を用意しておきましょう。乗客が窓からゴミを捨てないよう、案内を書き加えましょう。

●工場、包装工場、研究所でできることは?

将来的に発生する責任をも追及する法律は、廃棄物を適切に処理することを私達に義務付けます。
・まずは、産出される廃棄物に責任を負います。処理をせずに、自由に廃棄することは出来ません。
・汚れた液体を洗い流すにはフィルターを利用しましょう。それぞれの場合に、適した技術があります。塩素、重亜硫酸塩、利用済み機械油、血液、魚の油、漂白剤。
・食肉を処理する場合、血液と混合した水は処理しなくてはなりません。食肉の残部や骨は再利用して、排泄物は肥料にしましょう。
・鶏や小動物を肥育する人々も、羽や皮を活用して、内蔵は粉にして利用しましょう。
・エンジンからの排気は、フィルターや触媒装置を利用して減少できます。
・魚粉、エビ、飼料の製造加工工場は、空気清浄フィルターを利用して悪臭を取り除きましょう。上澄みと不純物を除去して、液体を再利用します。また、固体を除去しましょう。
・エビや魚の包装業者も、エビの頭、えら、ひれ、内臓を利用して肥料をつくれます。
・使い捨て容器を利用して、食事を提供するのは避けましょう。
・省エネ電球を利用して、扉は直ぐに閉めてエネルギーを省きましょう。

●養蜂、養豚、エビ養殖の業者にできることは?

・有機肥料をつくるため、排泄物のタンクを活用しましょう。
・尿や液体は、液体肥料に利用できます。
・ガスも燃料として利用できます。
・ハエ退治には、粘着テープを使いましょう。また、虫退治に有用な植物を活用しましょう。パイコ、マリーゴールド、アルバアカ。感染源の除去に努めましょう。
・生物コントロールを取り入れましょう。木を植えれば、ハエを捕食する鳥がやってきます。また、カエルやヤモリも昆虫を捕食します。
・エビの養殖には持続可能で、汚染の少ない方法を用いましょう。川へと戻される水が、よりきれいであるように、配合飼料にはタンパク質をより少なく、配合飼料の比率を低くするよう第一次産品の依存度を高めましょう。
・養殖池のエコシステムや、生物多様性を回復しましょう。岸や河川沿いには常にマングローブを植え、周囲に植生が戻るようにしましょう。

●機械工場や民芸品工場でできることは?

・リサイクルセンターの指定に従い、廃品を分別しましょう。鉄、瓶、タイヤ、ゴム、プラスチック、布、紙、段ボールなどです。リサイクル業者は、これら全てを買い取ってくれます。
・潤滑油、溶剤、サビ落とし、使用済みのオイルなどは、リサイクル用の容器に集めましょう。
・サンドペーパー、燃え残り、磨き粉の残りも同様に、リサイクル用容器に集めましょう。
・布切れ、皮や繊維の切れ端も、別の利用法があります。
・近代美術に勤しむ人々は、彫刻に廃品を利用します。
・作業場での安全は、強く求めましょう。

●観光客がするべきことは?

1.植物や動物を、大切に扱いましょう。植物、動物、昆虫を移動させるのは止めましょう。
2.使い捨てよりも、リサイクル可能な容器を利用しましょう。
3.ゴミはゴミ箱に捨て、決して道端や川、海岸に捨ててはいけません。
4.それぞれの場所で指示されるようにゴミを分別しましょう。
5.トイレを利用しましょう。
6.自然の中の歩道を利用して、丁寧に扱いましょう。
7.私達の文化遺産を尊重しましょう。
8.自然の中には足跡のみを残し、写真のみを持ち帰りましょう。

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