汎アメリカ人権委員会 (Inter-American Commission of Human Rights)
汎アメリカ人権委員会とは、南北アメリカ大陸の人権保護の状況を監視する機関で、ほとんどの南北アメリカ大陸の国々では承認され、加盟している。(エクアドルも。ただしアメリカは署名していないそう。)この機関はOAS(Organization of American State)の一部で、ワシントンDCに本部があり、裁判所は、コスタ・リカのサン・ホセにある。
どう機能するかというと:
1)人権侵害の実情(書類、写真、ビデオ)などで、提示する。
2)委員会がこのケースを吟味し、人権侵害がなされているとみなした場合、直接人権侵害をしている側に人権の尊重などを訴え、問題解決にあたる。
3)それでもダメだったら、裁判所で委員会(Commission) VS 人権侵害している側で争う。
4)勝訴:たとえば人権侵害している側が国である場合、人権保護にあたるよう、強制する。(人権が侵害されないような新しい法律、メカニズムなりを作る。)(その強制力を持つ。)
敗訴:敗訴の場合もあるけれど、それはそれで、以前と変わらないということになる。
フニンの場合は:
1) いかにフニンで行われていることが違法であり、人権侵害であるかを提示する。(国が採掘権を売ることそのものは違法ではない。欧州大陸のような法律が適用されている。しかし、憲法で、すべての国民は健全な環境に住むことが保証されており、この地域での鉱山開発は、健全な環境を破壊しうるという点で違憲である。また、採掘権を売る前に、住民の許可を得ることも憲法でうたわれている。つまり国がフニンの住民の人権を侵害しているという形になりうる。またコタカチ郡には、環境保全条例というものがあり、その総則に、コタカチ自治政府は、郡の原生林と生物他余生の保護並びに持続可能な運営が最高度に優先されるべきものであると宣言する、とあるので、この郡レベルの法律にも違反している。)ちなみに、DECOINでもなく、地域発展評議会でもなく、フニン村として汎アメリカ人権委員会に提示することが決まった。
2) 委員会で承認されたら、委員会より、エクアドル政府に注進し、状況改善にのぞむ。
3) 政府がそれを受け入れない場合、サン・ホセの裁判所で、委員会対エクアドル政府が争うことになり、フニンは参考人として、資料を提示。
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サラヤク(エクアドルのアマゾン地方で、石油開発の問題を抱えているところ)もここにケースを提示、政府を動かしたという背景がある。
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