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アースデイ2004@コタカチ

「森へ行ったことがない!?」環境教育の大切さを実感!


コタカチの高校生を前に、インタグの生態系の素晴らしさを説くカルロス・ソリージャ(左)

2004年4月25日 

こんにちは。エクアドルよりワダアヤです。

 コタカチは今、雨季真っ盛り(?)、朝は晴れていても、午後には豪雨という日が続き、雨が降るととても寒いです。こういう気候を、エクアドルでは「冬」と呼びます。
今年は、「冬」の訪れが遅く、エクアドルの多くの地方では、旱魃に悩まされました。この雨で少しは水不足が解消されるといいのだけれど。

 ここ、コタカチ郡でも、アース・デー・イベントがありました。

 4月22日、コタカチの文化会館(この中には、6種類くらいの言語の垂れ幕があって、よれよれの字で日本語で「文化会館」と書いてあるのもある。)で、アース・デーイベントが行われました。

 2002年にも、私はエクアドルにいましたが、そのときには、インタグ地方の伐採され、牧草地化された原っぱに木を植えに行きました。それらはエクアドルの在来種のものばかりだったのをよく覚えています。

 今年のアース・デーは私が敬愛する、インタグの環境保全活動家のカルロス・ソリージャさんの案によって、コタカチ郡民衆議会に属する環境評議会によってオーガナイズされたイベントに行きました。
この国の「アース・デー」という日の認知度は低いけど、どのくらい人が来ているんだろうと思いながら、ハウスメイトとうちで飼っている犬と一緒に行ってみましたが、たくさんいました、高校生の子達が!
 
 そこでまず、高校生のバンドによる自作の曲の披露がありました。
かなり音響が悪く、音が割れていて、かわいそうになるくらい音のよくない演奏となりましたが、そこはそれ。それなりに楽しめました。
 
 次がメインのカルロスによる講演です。内容は、もちろんインタグこと。
雲霧林はアンデス山脈西麓に広がる、世界でも珍しい生態系、最も生物多様性豊かな森です。インタグ川の流域では今世紀になってから大規模な植民が行われ、農業の拡大のために元の亜熱帯林の90%がなぎ倒されてしまいました。

わずかに残された森林は、地域固有の種や絶滅の危機に瀕する種を数多く擁することで知られています。インタグでは、この森での大規模な銅山開発計画に反対し続けています。その代わりに持続可能な地域づくりで自然環境を守りながら貧困から抜け出す道を選んだのです。

このことが「環境保全群宣言」につながったきっかけでもあるのですが、その方策のひとつが、地域の伝統的な多品目栽培を生かした「有機無農薬コーヒーの生産」と「カブヤ編み」、それを適正な価格で販売する「フェアトレード」でした。その他、DECOIN(「インタグの生態系の保全と防御」という地元の団体。カルロスはこの団体の創設者。)が取り組んでいる環境教育、水源地保全、インタグにおける採掘権の所有の裁判の話、横山理絵さんからMLに流れているインタグの医療問題のこと、さまざまな話を高校生たちは無駄話もせずにじっときいていました。

 その後、カルロスが撮った写真のスライドショー。インタグがいかに生態系に優れているかを証明する数々の美しい写真。特に蘭は、本当に種類が豊富で、見飽きません。
その美しい写真とともに、カルロスが見せてくれたのは、インタグが破壊される様です。なぎ倒された木々、汚染された川。私も自分の目で何度も見た光景ですが、なんとも胸が痛みます。

 そのスライドショーに華を添えたのが、高校生バンドによるアドリブのBGM。多分彼らが自分たちでよく弾く曲を適当に演奏したのだと思いますが、素敵でした。

 スライドショーが終わって、カルロスが高校生たちに聞いた質問があります。「この中で森に行ったことがある人は?」その質問に手を挙げたのは、100人くらいいた高校生の中で2名。
このコタカチ郡に住んでいながら、行ったことがないとは!
私とハウスメイトは大いに驚きました。外国人である私たちの方がよく知っているなんて少し悲い状況です。

 環境教育は、自然に恵まれたエクアドルでも大きな問題です。
都会のこどもは森を、海を知らない。森の中、海のそばに住んでいるこどもたちは、大半が貧困層に属する家庭の子達です。だから満足に普通の教育が受けられないし、自分たちが住んでいる環境のことも知らない。だから動物を殺しても、ゴミを捨てても別に気にしない。

以前、インタグのこどもたちが描いた「私たちの自然」というテーマの絵を見せてもらったことがあります。そこには、ぞうやきりんが描かれていました。でもそんなのは、インタグにはいません。
自分たちが住んでいる場所のことをよく知り、その価値を知る。そこから進めていかないといけないんだと思います。

以前、コタカチ郡知事のアウキさんがおっしゃっていた言葉を思い出します。
「自分の文化を、生まれ育った土地をきちんと知ることで愛情が生まれる。その愛情が環境を守ることにつながるんだ。」と。環境を守るというのは、その土地を、地球を愛することが一番大事なんだと思います。

 講演の後、こりゃいかん、ぜひ高校生たちを森に連れて行く計画を練ろうと相談しながら、私とハウスメイトは家路につきました。
 
エクアドルより愛を込めて、
ワダアヤ

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