エクアドル鉱山開発問題
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フニン村への支援を! エクアドル派遣員・和田彩子

こんにちは。ナマケモノ倶楽部エクアドル派遣員のワダアヤです。

今まで何度もインタグ、フニン村周辺における鉱山開発問題についてみなさんにお伝えしてきましたが、この問題に終わりはまだまだ見えません。

6月17日に、コタカチ郡庁舎で、アウキ郡知事、そしてコミュニティーの代表者たち、それからエネルギーと鉱山開発省の鉱山開発担当官との話し合いが行われました。

コミュニティーの許可なしにコミュニティーの保護区にいる鉱山開発側はコミュニティーとの対話を持つまで保護区から即刻退去という、エネルギーと鉱山開発省とコミュニティーの代表者たちによる取り決めが、エネルギーと鉱山開発省より通告されたその2日後に破られたこと、また鉱山開発側による住民の買収、買収された住民によるスパイ行為、反対運動家たちに対する脅迫や電話の盗聴、そしてコミュニティーの分裂(鉱山開発賛成派・反対派)を生んでいるなど、どんどんエスカレートしていく被害に対してどう対処するべきなのかということを話し合うためでした。

先日立ち上がったコミュニティー発展評議会(以下のカルロスの手紙の中にあります。)の代表者やインタグの教区の区長さんたち、DECOIN(インタグの生態系の防御と保全という地元団体)の代表者などがそれぞれ、住民の権利、すなわち健全な環境に住むこと、自分たちの土地に鉱山開発者が入る場合、必ずコミュニティーの許可を得てからにしてほしいと異口同音に訴えました。コタカチ郡弁護士も、憲法やコタカチ郡環境保全条例を挙げ、鉱山開発は違法であることを示しました。

そしてアウキ知事も、「このコタカチ郡において、鉱山開発は発展のオルタナティブではない」とはっきり明言していました。それに対して鉱山開発担当官は、「住民の声を聞きに来た」というだけにとどめ、返答を避けているように見えました。郡レベル、地元住民レベルできちんと意思を鉱山開発担当官に伝えることができたという意味において、この会合は意味があったと思います。

しかし会合の後、雑談の中で、担当官は、少しくらいミネラル(重金属をさしていたと思われる)が入った方が川はきれいになるんじゃないかね、などと笑いながら言っていて、私はどこまでこの人は真剣に取っているんだろうとしきりに思いました。

また6月22日のコタカチ郡民衆議会の環境評議会において、ある評議委員の独断により招待された鉱山開発関係者7名(開発者サイドの弁護士を含む。そしてその場にいた環境評議員は9名。)が参加し、自分たちの「権利」、つまりコタカチ郡の住民として、環境を守りつつ、鉱山開発することはよいことだ、自分たちにはその権利があるとさんざん言うだけ言って、こちらの意見は聞かずに帰ってしまいました。

彼等の言い分は「採掘した後、在来種の木を植林すればいいだろう」。でも、一度壊れた原生森は元には戻りません。似たような二次林になるとしても、それにどのくらいの時間がかかると思っているんだろう。汚れた川はどうなるんだろう。

さらに怖いと私が思ったのは、評議員の誰も知らないうちに、1人の評議員が鉱山開発者を独断で招待していたという事実でした。彼は、会議の前には何も言わなかったのに、鉱山開発者たちを呼んだことに対して「すべての人に扉は開かれている」と言い、環境評議会という、環境保全のための取り組みを話し合う場に、そういう人たちを呼んでいる。

みんな彼に対して、「この人は鉱山開発側に買収されているんじゃないか」という不信感を抱きました。彼が買収されたという確証はないけれど、そうやってなし崩し的に少しずつ今まで築いてきた取り組みや信頼が破壊されていくのかと私は心底怖くなりました。

私がインタグに行ったときにもらった鉱山開発社のパンフレットには、「コミュニティー+企業=発展」というスローガンが載っていました。

ISO9000と14000の基準を守り、開発を行うと。生活の質の向上には、車道を作る、この地方における新しい作物を育てるための農園を作る、農作物の加工、販売するセンターを作る、雇用を生む、在来種の樹木の植林を行う、水源地を守る、公共サービス(学校、保険、水道、下水道など)の充実などが必要と書いてあり、鉱山開発をすることによって、その充実を図ると。

パンフレットは、インタグの豊かな山の写真がたくさん載っています。これを見たら、はっきり言っ
て、住民は信じてしまうだろうと思うのです。インタグ1680km2という広大な地に1万5千人しか住んでいません。地理的に町から離れていて、電話も電気もない地域に住む人々は、アクセスできる情報が限られている。

あちらはいくらでもお金があるので、こういったパンフレットを何万も刷り、一人残らずに配られた
ら、いくら草の根環境保全団体ががんばって環境教育キャンペーンをやっても、ひとたまりもない。

企業とコミュニティーが歩み寄り、結びついて、環境に負荷を与えない地域の発展という発想は、スロー・ビジネスにも通じます。しかしそのやり方、実際の中身がまったく違います。コミュニティーの中の一人でも、反対していたら、「コミュニティー+企業」という式はありえないのです。

このような状況をみなさんは想像できますか?インタグのこのケースは世界中にたくさんある多くの開発問題を象徴していると思います。ナマケモノ倶楽部として、地元環境保全郡組織、DECOINを支援していきたいと思います。

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