2004年11月6日
ここのところ、状態はむしろ「静寂」を保っている。我々にとっては何も起こらない(開発がすすまない)ことほどよい知らせはない。
この「静寂」の理由は、最近の我々のアセンダント・エクスプロレーション社への抵抗キャンペーンが功を奏しているからかもしれない。
●「鉱山開発にNO!」500人が結集:
10月9日、バルセロナ村で行われた鉱山開発反対集会は、22のコミュニティから500人以上が参集し、素晴らしい成果を収めた。その後、鉱山開発側によるコミュニティの土地収用や侵犯はない。会場となったバルセロナ村へのアクセスが不便であるにも関わらず、こんなにも大勢の人々が集まったことに、我々はしばし酔いしいれた。
デコインとコミュニティ発展評議会の共催によって開かれたこのイベントでは、我らが知事アウキ・ティテゥアニャをはじめ、各コミュニティの代表、44の先住民のコミュニティで構成されている郡共同体連合(county community association )から、鉱山開発反対を支持する発言が相次いだ。
今、こちらでは、アセンダント社がまもなくインタグを去るだろうという噂が流れている。この噂が出はじめたのは、感動的なバルセロナでの鉱山開発反対集会と、後で詳しく述べるコタカチでの政治的勝利以降のことだ。
アセンダント・エクスプロレーション社にとっては、大多数の住民が鉱山開発に「NO」を唱えるインタグ地域の中で、開発賛成派に(このまま計画がぽしゃってもいいのかい?と)圧力をかけるためにも、こうした噂が必要だったのかもしれない。
●人権侵害への調査はじまる:
2ヶ月前、鉱山開発反対運動を担う我々の仲間が、殺害予告や暴力など様々な人権侵害を受けていることに対し、私たちはキトにある人権擁護機関CEDHU(COMISION ECUMENICA DEDERECHOS HUMANOS)に状況を訴えた。
嬉しいことに、訴えの内容を調査するため、1週間前、政府と検察庁のメンバーで構成される調査団がインタグにやってきた。調査団は脅迫された住民たち(マチェテで鉱夫を追い払った婦人を含め)に聞き取り調査をした。報告書がいつできるのかは定かではない。
一方、まもなく私たちは、アセンダント・エクスプロレーション社が行ってきた、そして現在も続いている数々の不法行為に対して、検事たちと話し合う機会がもてる予定だ。
●政党パチャクティック、圧勝!:
アセンダント・エクスプロレーション社の棺にまた1本、釘が打たれた。エクアドルでは10月、地方選挙が行われたのだが、コタカチ郡においては、インタグ地方6教区のうち5つの教区で鉱山開発反対を訴えた候補者たちが圧勝したのだ!!
鉱山開発側にとって安全圏であったガルシア・モレノ教区でさえ、結果は「負け」だった。勝利を収めた政党、パチャクティックから出馬した候補者たちは、鉱山開発反対を公約に掲げていた。
先住民キチュアの知事であるアウキ・ティテゥアニャ氏もまた、一貫して鉱山開発反対の姿勢を表明し、3期目の再選をやすやすと果たした。今後4年間、アセンダント社の横暴を止めるために尽力してくれることだろう。
●「インタグ新聞」名誉毀損?事件、続報:
インタグ新聞が言われなき名誉毀損で訴えられたことは先日速報でお伝えした。が、この件はおそらく立件不可能であろうという判断に我々は達した。
エクアドルの法律では、会社組織(この場合はインタグ新聞)は人間と同様の権利をもつとはみなされないため、名誉毀損で訴えることができない。さらに、インタグ新聞の編集長メアリー・エレンは、合法的に召還状を届けられていない。つまり、彼女は裁判への召還状を本人配達ではなく、私書箱で受け取った。
まったく、鉱山開発に反対する人々を恐がらせようとする馬鹿げた行動の数々よ。ひとつだけ厄介なのは、イバラの裁判官がアセンダント社に買収されていることだ。
一方で、入ってきた情報によると、コミュニティ発展評議会のリーダー、ポリビオ・ペレス氏がアセンダント社に訴えられるかもしれない。現時点では何の罪状でかは不明。わかり次第また報告しよう。
●次はクエジャヘ教区か!?:
現在、アセンダント・エクスプロレーション社は、クエジャヘ教区で4000ヘクタールの土地を手に入れようとコミュニティと交渉している。もし開発側がガルシア・モレノ教区に問題があると考えるなら、クエジャヘでどのような反対運動が彼らを待ち受けているか想像できそうなものなのに。
クエジャヘ教区では、鉱山開発に反対する人たちのほうが多い。しかも先月の選挙では、鉱山開発を推進する候補は1人として票を集められず、当選しなかったのだ。
●子ども騙しのデコイン中傷:
1ヶ月くらい前だろうか、反デコインを掲げたへんてこりんなウェブサイトが作られた。サイト名は「出て行け、デコイン」。http://www.fraudecoin.org
面白いことに、このホームページを運営している人たちの論調は、10月の地方選挙でみごとに敗北した鉱山開発推進派の演説と非常に似通っている。
ホームページにも共通するその手法とは、
・選挙に出馬した対立候補への攻撃は一切なし。
・一方的な主張のみで、公の対話窓口がない。
・デコインと我々の仲間数人に的を絞っての子どもじみた攻撃ばかり。
このホームページもまた、捨て身のアセンダント社がなんとかインタグ住民を鉱山開発推進派に取り込もうとするひとつの作戦にすぎない。彼ら以外の誰がホームページを作るノウハウと経済的余裕がある?それにしても、このホームページは(事実無根すぎて)笑うしかない。我々やデコインの活動を知っているみなさんもそうだろう。
●汎アメリカ人権委員会の判決に期待:
最後に、(コタカチ郡の生態系保全条例を無視して鉱山開発にゴーサインを出した)エクアドル政府の憲法違反を訴える、汎アメリカ人権委員会での訴訟について報告しよう。
私たちの仲間である弁護士は少し途方にくれていたけど、今年の終わり、あるいは2005年の初めまでには結審するだろうと思う。とにかく、ここはエクアドル。情報はいつも恐ろしいほどスローにしか集ってこないのだよ。
みなさんの支援に心から感謝している。そして、覚えておいてほしい。
残念ながら、まだ闘いは終わっていない・・・。
カルロス・ソリージャ
DECOIN
http://www.decoin.org
(翻訳:事務局・馬場)