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フニン続報:アセンダント・コッパーコーポレーションに投資をすすめない9つの理由

DECOINは、アセンダント・コッパーコーポレーション社の「フニン地区鉱山開発プロジェクト」により影響を受ける地元コミュニティから、この会社の開発計画を支援することが、どんなにか生態系およびコミュニティへのリスクと危険をともなうかということを広く周知してほしいと要請を受けました。

もしあなたがトラブルの多いこのプロジェクトとその会社への投資を考えているのならば、アセンダント・コッパー社のパンフレットには、数えきれないほどの誤った情報や手抜きがあることを知っておくべきでしょう。

以下は、この会社とそのプロジェクトに投資することがいかに馬鹿げているかを具体的な9つの理由で論じたものです。

1:地元の反対
アセンダント社のパンフレットには鉱山開発反対の中心は環境NGO・DECOINと
少数の「個人」であると誤報されています。しかし、フニンをはじめ多数のコミュニティ代表が鉱山開発反対への公式な署名をしています。開発により影響を受ける地元コミュニティの強い反対の中で、アセンダント社は義務付けられた環境評価のための資材を運び込むことさえできないでいます。

2:コタカチ郡知事の反対
アセンダント社のパンフレットにはほとんど触れられていませんが、フニン地域を管轄するコタカチ郡知事は、明確に鉱山開発に反対しています。州政府は鉱山開発を許可していますが、郡政府は開発を許可しておらず、これまでにも法的に闘っています。

3:誇張された数字
アセンダント社のパンフを読んだあなたは、さもフニン地区にたくさんの銅が埋蔵されているように信じ込まされてしまうでしょう。彼らは日本の企業が5年前に調査した際の推定埋蔵量226万トン(銅の同等物の合計)の3倍の数字を謳っているのです。しかも、地元の強い反対により、彼ら自身が環境評価のための試掘さえしたことがないのに、です。

4:コミュニティの移転
1990年代に日本企業による鉱山開発がはじまるにあたって行われた環境アセスメントでは、4つのコミュニティが移転を余儀なくされると報告されました。アセンダント社の開発計画がすすめば、7つのコミュニティの移転は必須と想定されています。地元のコミュニティとそこに暮らす何百という家族は、家を捨てて移転する意志はありません。

5:環境保全条例
2000年、コタカチ郡は「環境保全郡」であることを宣言しました。先住民出身のアウキ・ティトゥアニャ知事のリーダーシップのもと、鉱山開発のよう環境を破壊する行為を禁止する条例も定めています。アウキ知事はコタカチの自然資源と人民を守るため、何度も環境保全条例の遵守をアセンタント社に訴えています。

6:鉱山採掘権に関する土地譲与の違法性
アセンダント社のパンフではあいまいに記述されていますが、現在、アセンダント社が買収したいくつかの土地に対して、法的な裁判が進行中です。アセンダント社に違法に土地を譲与した疑い、土地譲与に関する汚職などの疑いがもたれています。

7:環境上、考古学上の配慮
フニン地域は、生態系が豊かな雲霧林に覆われた地域で、ホットスポットに指定されている箇所も含みます。1996年、日本の団体によって作成された環境評価報告書には、開発対象地域が絶滅の危機にある鳥類や哺乳類の生息地域であることが明記されているほか、採掘による水資源の汚染も指摘されています。同時に、開発予定地域には考古学上の遺跡が多数あることがわかっています。エクアドルの法律では考古学上の遺跡を採掘によって破壊することを禁じています。

8:政治的な不安定性
この8年で3人の大統領がデモなどの手段によって大統領の座を奪われました。現在の大統領は、石油会社との不公正な取引の改善を掲げています。また、エクアドルの鉱山採掘に関する法律についても改正の議論がわきおこっています。

9:アセンタント社をめぐる訴訟
2003年、アウキ・ティトゥアニャ氏率いるコタカチ郡政府は、アセンダント社の採掘権譲渡に関する取消請求を裁判所に提出しました。地方裁判所、高等裁判所とコタカチ郡が勝利しましたが、最高裁で敗訴しました。また2005年5月、コタカチ郡は別の法廷にアセンダント社の採掘権譲渡無効を訴える訴訟を提出しました。どちらも、コタカチ郡は一貫して、影響を受ける地元との充分な対話なしに、開発をすすめようとしていることを環境保全条例違反としています。


上に掲げた9つの理由が意味すること。
それは、なぜあなたはこのように貴重な生態系を破壊し、そこに暮らす人々の基本的人権をないがしろにし、多くのコミュニティの反対を押し切ってまで、この会社をサポートしようとしているのか、という問いかけに他なりません。危険な投資であり、倫理的には「ありえない」投資です。
(概訳:馬場直子)

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