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エクアドル情報
フニン続報:コデガム、空中分解

2006年3月7日、3月12日ダイジェスト:


●チャルワヤク・バホでの衝突

3月2日(木)、住民たちはチャルワヤク・バホでダイミサービスの社員3人を拘留し、フニンへ連行した。ダイミサービスとはアセンダント社から資金提供を受けている会社で、EIS(環境影響調査)への段取りを整える任務を帯びている。

3人の拘留の目的は、アセンダント社への抗議だけでなく、ダイミの幹部たちにフニンに来るよう圧力をかけることでもあった。そうすることで、フニン住民は彼らに「鉱山開発を望んでいない」ことをきちんと伝えることができるのだ。

特別装備を持つエリート警官隊が3人の救出に送り込まれた。しかし、なぜ住民たちがこのような行動に出たかを警官隊に説明したところ、かえって同情を集めた。警官隊の1人は、「次にこういうことがあったら侵入者を撃てばいい」「今後、自分たちはこういう会社の社員を救出するために時間を浪費することはしない」とまで発言した。その日のうちに3人は無傷で解放され、現場に逮捕者は出なかった。


●バルセロナでの応酬

2月28日、ダイミサービスの医療チームがバルセロナに入ろうと試みた。「無料の医療サービス」をエサに住民に取り入ろうという魂胆だ。もちろん住民たちはすでにダイミサービスの正体を知っている。

ダイミサービスはバルセロナの道路封鎖された地点で、住民たちから鉱山開発を望んでいない、バルセロナから退去するよう告げられた。ダイミサービスの人間がきたことが他のコミュニティにも無線で報告されると、彼らはナーバスになり去っていった。この付近のコミュニティの鉱山
開発反対運動はとても強いのだ。


●法廷での争い

先週、DECOINのカルロス・ソリージャはイバラの地方裁判所に出廷した。アセンダント社が、昨年12月10日にチャルワヤク・バホで起きた同社の施設焼き討ち事件の主犯としてカルロスを訴えたのだ。

原告側として出廷していた5人のうち4人はカルロスと面識のない人物だった。彼らは検事にカルロスが住民に鉱山開発に反対するよう促したリーダーだと証言した。そのうちの1人は、1997年の三菱キャンプ焼き討ちの話にまでさかのぼり、そのときもカルロスが焼き討ちを指示したと言った。

この訴えはアセンダント社がここ数ヶ月で会社の利益(2200万ドル)を45%も落としたことへの腹いせだろう。鉱山開発反対運動のレポートを世界中に発信しているカルロスのせいで、会社のイメージが損なわれたと思っているのだ。カルロスさえいなくなれば、鉱山開発への抵抗がおさまるだろうと。

そういえば前にもアセンダント社はカルロスという人物を調査するようにと外務省に要請をしたことがあった。


●コデガム、空中分解

アセンダント社とコデガムの関係について触れておこう。コデガムとは、「ガルシア・モレノ・コミュニティ発展委員会」の略で、アセンダント社が資金提供して作った偽のコミュニティ発展団体だ。汚職で追放された元国会議員が代表を務めている。アセンダントとコデガムは1年以上仲良くしていたが、今やコデガムは彼らに反旗を翻してしまった。なぜか?端的にいえばカネと悪評に
尽きる。

アセンダント社は公式発言としてコデガムの最近の行動に不快感を示し、経済支援を打ち切り、コデガムの後釜としてダイミサービスを雇うと発表した。これまでコデガムはアセンダント社の資金を後ろ盾に、道路、学校新築、主要な川の橋、サッカー場、全教室へのコンピューター設置などなど、鉱山開発は地域住民に発展をもたらすとアセンダント社の宣伝をしてきた。しかし、これらのほとんどはどれも完成していない。アセンダント社のリップサービスが暴かれた瞬間だった。

結果として、アセンダント社の勢力が強かったガルシア・モレノにおいても、アセンダント社とダイミサービスは好まれざる客になってしまった。両社はガルシア・モレノにいれなくなり、オフィスをヴィラドリタに移転させた。鉱山開発問題には無関係のコミュニティだ。しかし、オフィスを移転させたアセンダントの真の目的は、開発計画によっていちばん影響を受けるコミュニティでできなかったこと、つまり、環境影響調査すすめることにほかならない。

今やコデガムのメンバーたちは、フニンの鉱山開発反対グループの力になりたいと切望している。彼らは言う「アセンダント社をきっちり追い出したい」。


●アセンダント社の誤算

最近のアセンダント社と地域住民との衝突をみていると、アセンダント社とダイミサービスがインタグの抵抗運動をかなり甘くみていたことがわかる。しかし、昨年12月に起きたチャルワヤク・バホでの施設焼き討ち、3月初旬のダイミサービス社員3名の拘留などをみても、鉱山開発に関する住民の抵抗の意志は明らかであり、この計画の将来が明るくないことを示している。

一方で3月9日、インタグ全教区の首長たちと各コミュニティ組織の代表たちが集まり、エクアドル中央政府にインタグ地方における開発計画の5年間延期を要請することを決議した。開発延期はコデガムやダイミサービスのような企業にも影響を及ぼすだろう。政府は現在審査中だが、インタグ側は要請が受理されるだろうと期待している。

【翻訳:馬場直子】

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